どんな成績の子にも必ずその子なりの成長がある
ひとはそれぞれ、生まれつきもっている才能が違うといえば違う。そしてそれらは一つのモノサシで優劣をつけ、並べられるものではない。マラソン選手と、短距離走選手と、どちらの運動能力が高いのかと問われても、それを比べるモノサシがないのと同じである。だからこそ(4)わが子の才能を最大限に評価するモノサシを持つ。
一般的なペーパーテストの点数に表れる「学力」とは、記憶力、思考力、表現力など、実はさまざまな個別の能力の最大公約数的な数値である。バランスがとれている子供のほうが高く出る傾向がある。逆に、どこか一部が天才的に突出していても、テストの点数には表れにくい。
であるならば、親がまずすべきことは、わが子の才能を最大限に評価できる独自のモノサシを持つことだ。毎日コツコツがんばる力、良くない成績にも凹まない明るさ、難問にも果敢に食らいつくガッツ、自分が勉強で疲れているのに親のことまで気遣う優しさ、つらいときにはつらいと言える素直さ……。
よその子に負けない才能をたくさん見つけ、中学受験という機会を通してそれをさらに伸ばしていることに常に注目してあげよう。そうすれば、よその子と比べたくなる気持ちも和らぐはずだ。
「第1志望以外はすべて第2志望」
「第2志望合格ならまだいい。第3志望もダメ、第4志望もダメとなったらどう考えればいいのか」という指摘もあるだろう。これにはちょっとしたコツがある。(5)第1志望以外はすべて第2志望と考えるのだ。
文化祭やオープンキャンパスに参加して、各学校のいいところをたくさん見せれば、子供には偏差値表など見せなくてもいい。「ぜんぶ受かっちゃったらどこに行くか迷っちゃうね」などとのんきなことを言っていればいいのだ。
実際、私はこれまでたくさんの学校を取材してきた。その経験から断言できる。長い歴史のなかで生き残ってきた私立の学校は、総じてどこの学校も恵まれた環境であり、いい学校。偏差値にして5や10の違いはなんてことない。
「これからはグローバル。世界のどこへ行っても通用する人間にならなければいけない」と言われているにもかかわらず、狭い日本の一部地域に密集する中高一貫校のなかで「こっちの学校はいいけれど、この学校じゃダメ」だなんて言っているようでは、それこそ先が思いやられるというものである。