「第2志望でも納得できない病」にご用心
中学受験において、第一志望に合格できるのは3割にも満たないといわれている。まずはその事実を冷静に受け入れよう。つまり(1)努力が報われないこともあるという現実を受け入れるのだ。
自分の努力の結果が親を落胆させるものだったとしたら、子供の自己肯定感は確実に下がる。それが中学受験の大きなリスクのひとつである。逆に言えば、親が、結果よりも子供の努力そのものを評価し、たたえることができれば、子供の自己肯定感の低下は阻止できる。
第1志望に大きな憧れを抱き、受験勉強のモチベーションにすることは大切なこと。でも、第1志望しか見えなくなると危険である。失うものが大きいと感じれば感じるほど、不安も大きくなり、その不安に自分自身が振り回されてしまうからだ。
これを「第2志望でも納得できない病」という。そして、その病に罹りやすいのは、受験生本人ではなく、親のほう。それが、中学受験で親子が壊れ自滅する、典型的なパターンである。だから(2)「何が何でも」というこだわりを捨てる勇気をもつ。
小学4年生で塾に通い始め、小学校では習ったことのないような難問にもあきらめずに取り組むようになる。テストの結果に一喜一憂し、「次はもっとがんばるぞ!」などと目標を立てたりするようになる。親の期待だってひしひしと感じている。「親を喜ばせたい」という気持ちも当然もっている。しかし、親が「結果がすべて」と思っていたら、これらの成長は合格という形でしか報われない。
「いま、ここ」での子供の努力と成長に目を向け、励ますことを、中学受験を志す子の親は忘れてはいけない。逆にそれさえ忘れなければ、合否が怖くなくなるはずだ。「成績が上がってほしい」と切実に願う一方で、「成績が上がらなくても、この子が精一杯がんばって力を出し切れるのなら結果はどうでもいい」と心の底から思えるようになる不思議な体験をするはずなのだ。
それはすなわち、ありのままの子供を受け入れられるようになるということ。それが、親子で中学受験を経験することの最大の効能だと私は考えている。(3)受かった学校が最高の学校だと信じるのだ。