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連休を終えた今に、できること

 すでに連休を終えた今となっては、怠惰と悦楽に浸った10日間を後悔しても始まらない。いま苦しんでいる人はどうすればいいのだろう。山本医師は、たとえつらくても、学校や会社には行くべきだという。

「基本は体を“夜型”から“朝型”に修正すること。そのためには、学校や会社が始まる3時間前に起床するのです。午前9時の始業なら、毎朝6時に必ず起きる。最初はつらくても、これを土日も含めて毎日励行することで、体は自然に朝型になっていきます」

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 夜、寝つきが悪い人も、早起きを繰り返しているうちに、自然に早寝ができるようになる。早起きして、体を一日の授業や仕事で疲れさせ、自然に眠くなるように仕向ける。「早寝→早起き」ではなく「早起き→早寝」を体に覚えさせていくのだ。

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「これは、五月病に限らず、ブルーマンデー・シンドロームの対策としても有効です。土曜や日曜、祝日に朝寝坊しないこと、そして休日は日中に軽いスポーツなどで体を適度に疲れさせることが、体内時計を正常に保つ上で重要です。起床時刻だけは365日揃えることから始めましょう」

 それでもストレスが強くてどうしても眠れないときは、心療内科を受診して睡眠導入剤を処方してもらってもいい。まずは「眠り」からサーカディアンリズムの改善を図るべきなのだ。

 言うまでもないことだが、ベッドにスマホやゲームを持ち込むのは御法度だ。これは睡眠や脳に影響を与えるだけでなく、「目」にも深刻なダメージを及ぼす。就寝の1時間前からは、スマホやゲームはもちろん、パソコンからも目を遠ざけるようにしたい。

発症のリスクは梅雨明けまで残る

 ちなみに、山本医師の実感では、五月病の症状を訴えて心療内科を訪れる人は、5月よりも6月のほうが多いという。

「原因は“梅雨”です。4月の忙しさと大型連休による概日リズムの崩れで、連休明けにつらい思いをしていた人が、それでもどうにか頑張って乗り越えようとしていたところに、梅雨という鬱陶しさが加わることで、ついに力尽きてしまうのです」

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 そう語る山本医師によると、五月病は、何事に対しても真剣に取り組む真面目な人ほどなりやすいという。

 連休明けのこの時期は話題になりやすい五月病だが、発症のリスクは梅雨明けまで残る。苦しんでいる人、悩んでいる人は早めに、心療内科や総合診療科などへの相談をお勧めする。

■横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンターでは、心の悩みを持つ人を対象とした無料のメール相談を受け付けています。相談には、今回取材に応じてくれた山本晴義医師が対応します。対象は勤労者に限らず、主婦や学生でも可(すべて匿名)。詳細は下記参照。
https://www.yokohamah.johas.go.jp/medical/mhc/consultation.html