事務所の先輩・関根勤さんやブレイクのチャンスを作ってくれたとんねるずなど芸人として多くの“恩人たち”に助けられてきたというずんの飯尾和樹さん。
なかでも「隊長」と呼んで慕う出川哲朗さんは大事な番組の前に的確なアドバイスをくれる“コーチ”なのだと話してくれました。(全3回の3回目/#1、#2も公開中)
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「あの番組はVTR中心だから、V明けのコメントに集中して!」
―― 芸人として相談する先輩っていますか。
飯尾 浅井企画の先輩、関根さんはもちろんですけど、他の事務所で言うと、やっぱり出川さんですね。公私ともお世話になっていて、仕事が入り始めて「今度、この番組行きます」って言うと、百戦錬磨ですから、(出川さんの口調を真似て)「あの人はこうだから、絶対すかさないで」「わかりました!」って。俺らの“バッティングコーチ”ですね。「あの番組はVTR中心だから、V明けのコメントに集中して!」とか(笑)。
―― 出川さん、そんな分析まで……。
飯尾 すごいですよ。カリスマっていわれているディレクターと一緒にご飯食べて。「どうですか、うちの最近の番組?」って出川さんに訊いたら、「あー、正直、昔は録画して見てたけど、今はそういう感じじゃないね」「何でですか?」「前の形がすごく良かったのに」って言って。そしたら2カ月ぐらいして、視聴者の反応が悪かったってその番組が前の形に戻っているんですよね。出川さん、ああいうキャラですけど、スゴい分析力。ホントに教えてもらってます。
あと相談の話だと、関根さんたちとの舞台(カンコンキンシアター)に(明石家)さんまさんが見に来られるんですけど、その後反省会が始まるんですよ(笑)。食事しながら。でもさんまさん、難しいことは、本当に一つも言わないんです。「1秒待て」とか。あとはツッコミに喋っていると(観客に)ボケるとわかってしまうよと。だから、「ツッコミから視線を逸らせ」と。次の日、そのやり方通りやるとしっかりウケるんですよ。
内村さんに教わった「スベッてから考えろ!」
―― へえ、少しの視線の違いだけで!
飯尾 関根さんも的確ですよ。言い訳一切しないですからね。関根さんは舞台の稽古をやっているとき、目の迫力がすごい。ボケてるときも目がイッちゃってる(笑)。あれは見ていて興奮しますね。15歳上でいま65歳なんですけど、自分が15年後にこれができているかなって思っちゃいますね。それくらい関根さんの現役感がたまらない。『イロモネア』でも僕たちと一緒にチャレンジしてくれる。もう立場的に審査員でいいのに、それじゃ満足できないんですよね。プレーヤーでいたい。あのイズムは見習いますよね。
あと内村(光良)さんやさまぁ~ずさんからは『内P』で、「スベってから考えろ」というのを教わりましたね。本当に何でも面白くしてくれるんで。収録が終わってから絶対飲みに行くんですよ、スタッフも含めてみんなで。そうすると、内村さん、さまぁ~ずさん、番組の優秀なスタッフの人たちから、「あそこ面白かったな」「あそこであのギャグをもう1回やれば良かったじゃない」とか、言ってくれるんですよね。“公文式”が待っているというか、“赤ペン先生”がいるというか。大喜利のフリップの出し方ひとつでも、フリップにボケを書いてるのに、フリップを出してから読むと、先にボケがわかっちゃう。それだと笑いが半減しちゃうから言いながら出せばいいんだとか。まあそれぐらい普通は自分で気づくんですけどね(笑)。