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睡眠不足大国の日本! 秋の夜長にぐっすり眠るためのポイントは“就寝時間”よりも“起床時間”

寝不足のときは「早く寝る」よりも大事なことがあります

2019/09/19
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 春眠ならぬ、秋眠暁を覚えず。秋の足音が聞こえ始め、だんだん日が短くなってきました。夜が明けるのが遅くなり、朝起きるのがつらいという人も多いのではないでしょうか。

 世界的に見て日本人の睡眠時間は短いのですが、それが近年はますます顕著になってきています。厚生労働省の調査によると、1日の睡眠時間が6時間未満の人は、2007年には3割未満だったのが、2015年には約4割に増えました(平成27年「国民健康・栄養調査」)。

 その要因の一つがスマホの普及だと考えられます。深夜までSNSやオンラインゲーム、ネットサーフィンに没頭する人が多いのではないでしょうか。しかし、眠る前に明るい光を浴び続けると入眠時間が遅れ、眠りも浅くなってしまいます。

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 睡眠不足が続くと日常生活や仕事に支障をきたすだけではありません。病気の発症や悪化とも関連すると言われています。ですから、秋の夜長を楽しむのもほどほどにして、質のいい睡眠をとるよう心がけてほしいのです。

睡眠不足の人には肥満が多い

 たとえば、睡眠不足が引き起こす病気に、糖尿病や高血圧があります。以前取材した睡眠障害の専門医によると、睡眠不足が続くと、血糖値を調整するホルモンであるインスリンの働きが弱まり、血糖値が上昇しやすくなるそうです。

 また、睡眠不足の人には肥満が多いという研究結果もあります。これは、食欲を抑制するホルモンである「レプチン」が低下する一方で、空腹を促すホルモンである「グレリン」の分泌が増加することが一つの要因として考えられています。

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 さらに、眠たいと昼間の活動性が落ちて運動不足になりがちなうえに、睡眠不足によって生じるストレスを解消しようと食欲が増します。それによって太りやすくなって、糖尿病や高血圧を引き起こしやすくなるのです。実際、睡眠不足があると糖尿病や高血圧のリスクが1・5~3倍高くなるという研究結果が複数あります。

 このように、睡眠不足は糖尿病や高血圧を引き起こす原因となるのですが、これとは逆に、糖尿病や高血圧が睡眠不足の原因になるという研究結果もあります。