文春オンライン

2019/09/19

睡眠時間にこだわり過ぎないことが大事

 もう一つ大事なのが、睡眠時間にこだわり過ぎないことです。04年に名古屋大学の研究グループが日本人11万人を10年間追跡した調査で、平日の睡眠時間は7時間(6.5~7.4時間)の人が最も長生き(死亡リスクが低い)という結果が出ています。また、かつて「理想の睡眠時間は8時間」などと言われました。

 そのため、専門医の元には「8時間も眠れない」と訴えて受診する患者、とくに高齢者が少なくないそうです。しかし、睡眠時間はエネルギー代謝と関係しています。15歳くらいまでの成長期にある子どもは8時間以上眠り、深く眠る時間も長いのですが、年を取るほど代謝が落ちて睡眠時間が短くなり、65歳以上になると平均6時間ほどしか眠れません。

 年をとってあまり眠れなくなるのは、人として自然なことなのです。にもかかわらず、高齢者は早い時間から床に入りがちです。すると、夜中にトイレに行ったきり眠れないとか、早すぎる時間に目が覚めて、朝まで身を持て余すということになります。朝ちょうどいい時間に目覚めるためにも、むしろ高齢者ほど少し夜更かしをしたほうがいいのです。

©iStock.com

 また、高齢者の中には、テレビを見ながら昼間にウトウトして、気が付いたら夕方という人もいます。もちろんこれも、夜に眠れない原因になります。昼寝をするとしても、強い眠気が出る午後2時頃に、30分までにとどめることが大切です。

「眠れない」という焦りが不眠の原因に

 そして、「きょうよう」と「きょういく」と言うのですが、「今日、用事がある」「今日、行くところがある」という具合に、昼間に外出をして、心地よい疲れを感じるような活動をすることが、いい眠りにつながると言われています。

 そうした心がけをしても、十分な睡眠時間がとれないことは誰でもあります。しかし、「眠れなかった」と心配し過ぎるのは、かえってよくありません。眠れないと焦ることが、不眠の原因にもなるからです。

 人によっては体質的に長く眠らなければ満足できない「ロングスリーパー」がいれば、眠らずしゃべり続けていると言われる明石家さんまさんのように、「ショートスリーパー」もいます。専門医によると「朝起きて疲れがとれていて、昼間の活動に差支えがなければ、睡眠時間は十分足りている」とのこと。その人によって、必要な睡眠時間は異なるのです。

©iStock.com

 あまり眠れずに、何日も何週間も疲労感が取れないといった場合は専門医の受診をおすすめしますが、1週間に3~4日以上「よく眠れた」と思える日があれば、よしとすべきでしょう。

 とはいえ、睡眠不足が続いてしまうと病気を招きます。いい睡眠がとれるよう心がけつつ、秋の夜長を楽しみましょう。

◆◆◆

 より詳しい睡眠不足の原因と解消法については、鳥集徹「寝る時間より『起きる時間』を決める」(「文藝春秋」 2018年 2 月号)をご参照ください。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー