高血圧の人が“眠りにくい”理由とは?
糖尿病になると、口が渇く、夜間頻尿になる、神経の合併症で足に痛みやしびれが起こるなどの症状が出てきます。そのため、夜、眠れないと訴える人が増えるのです。糖尿病患者は健常な人に比べ、2倍も不眠を訴える頻度が高くなるという研究があります。
また、自律神経は夜になると体をリラックスさせ、眠りに誘う「副交感神経」が優位になるのですが、高血圧の人は昼間の活動性を高める「交感神経」が亢進するため、眠りにくくなります。さらに、降圧薬を飲んでいると、その副作用で眠りにくくなることもあります。
このように、睡眠が十分にとれていないと糖尿病や高血圧になり、今度はそれらの病気が不眠を悪化させるという悪循環に陥ってしまう恐れがあるのです。もしかすると眠れないで困っている人は、こうした病気が隠れている可能性もあります。不眠で医療機関にかかる人は、糖尿病や高血圧の可能性もないか、医師に診てもらったほうがいいでしょう。
「早く寝る」は必ずしも正解ではない
では、睡眠不足に陥らないためには、どうすればいいのでしょうか。ネットなどを検索すると、様々な安眠法が紹介されていますが、専門医の多くが第一に勧めるのが「寝る時間」より「起きる時間」を決めることです。なぜなら、朝、目覚めて光を浴びることで、睡眠覚醒リズムをコントロールしている体内時計がリセットされるからです。
人は、目覚めてから16~17時間後に睡眠のスイッチが入ります。たとえば、朝6時に起きたとしたら、夜の10時か11時頃には眠たくなります。このリズムを狂わせないためにも、寝不足のときには早い時間に眠ることよりも、決まった時間に起きることを意識したほうがいいのです。
平日に睡眠不足が重なった場合は、休日に1~2時間朝寝坊してかまいませんが、体内時計を狂わせないためにも、できれば同じ時間に起きるよう心がけましょう。また、光をほとんど通さない遮光カーテンを使っていると朝日が入らず、リズムが整いにくくなるので、10センチほど開けて眠るようにしてください。
夜眠る前は、前述の通り強い光を浴びてはいけません。入眠の1時間前までには、スマホやテレビのスイッチを消しましょう。室内の灯も電球程度の明るさに落とし、リラックスして過ごすようにしてください。専門医によると、夜寝る前のテレビやスマホをやめただけで、ぐっすり眠れるようになる人も多いそうです。