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人工的な照明ができてから、睡眠が変わった

 わたしは朝が早いこともあって、午後2時頃になると集中力がなくなり、やっかいな仕事ができなくなります。そのため、わたしはいつも午後に少し仮眠を取るようにしています。

 また、本当に疲れていて、誰とも話をしたくないときは、夕方や夜に人に会う約束があったとしても、睡眠を優先させてもらいます。たしかにそれは社交的でない行為にも思えますが、睡眠時間のほうがわたしにとっては大事だからです。

 かつてのヨーロッパに、分割睡眠という方法がありました。暗くなったら一度寝て、夜中に起きてしばらく活動したらまた眠るというものです。特に緯度の高い北欧では、冬の時期は夜の時間がとても長いため、睡眠時間を分割するしかなかったのでしょう。

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 実は、まとまった睡眠時間──たとえば7時間とか、8時間とか眠るほうがいいと考えられるようになったのは、人工的な照明ができてからのことです。人類の歴史を考えると、それほど古い話ではないのです。

 そういう人間の歴史を考えると、ふだんの睡眠であっても、睡眠を分割することにそれほど神経質にならなくてもいいということです。途中で目が覚めても、それほど問題ではないし、あらためて眠りにつけばいいのです。

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睡眠5つの役割を完遂するために

 夜間に3回トイレに行く人がいたとしても、最初の眠りのときに深いノンレム睡眠が出ていれば、明け方に寝ていようと、目が覚めていようと構いません。

 いつもは寝ない午後9時とか10時くらいの時間でも、眠たくなったら寝る。それで午前2時とか、3時とかに目が覚めてしまって、それから眠れなかったとしても気にしないことです。覚醒してしまったのは、十分な睡眠が取れているからだと考えれば、それからがんばって寝ることもありません。

 分割睡眠は、特に高齢者には適した睡眠方法だと思います。

 長時間眠れなくなるのなら、最初から「二度にわけて寝る」と決めておけば、中途覚醒に悩むことはなくなります。

 ただし、昼寝や電車の居眠り、二度寝などの細切れの睡眠を加算して、睡眠時間が足りているとは言えません。

 先述のとおり、睡眠には、脳と体の休息、記憶の整理と定着、自律神経やホルモンの調整、免疫力の向上、脳の老廃物の除去という5つの役割があります。

 この5つをすべて完遂するには、ノンレム睡眠からレム睡眠という周期を4~5回繰り返す時間が必要です。もちろん細切れでも、脳と体を休ませられますが、十分な睡眠が取れなければ、睡眠の目的を達成することはできないのです。