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権力の階段を上るたびに「変節」

「米国の核戦略を手放しで礼賛する河野大臣の答弁は、過去の発言となにもかも真逆」と外相時代に書かれている(日刊ゲンダイDIGITAL2018年2月10日「あまりに酷い変節漢 河野外相の答弁は過去の質疑と正反対」)。

 河野外相は「小型核の開発」と「核の先制使用」を打ち出したトランプ米政権の核戦略指針「核態勢見直し(NPR)」を「高く評価する」と発言した。

©文藝春秋

 しかし過去に河野氏は05年7月、小泉純一郎首相に対して核軍縮を念頭にこう主張していた。

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「我々は、アメリカの小型兵器の開発についてもはっきりとしたメッセージを出すべきだと思います。唯一の被爆国として、我々日本は、より使いやすい核兵器の開発など絶対に認められない、そういう強いメッセージをアメリカに向けて今こそ出すべきではないでしょうか」(日刊ゲンダイDIGITAL・同)

 権力の階段を上るたびに変節する河野太郎。これを「持論の封印」という書き方もある。しかしそれで人々は納得するだろうか。小泉純一郎はどんなに少数派の頃でも「郵政民営化」という信念はブレずに言っていた。だから大衆から圧倒的に信用されたのではないか。政策内容はよく伝わっていなくても。

「その時点で、その場でウケる」河野氏の言説

 なので思うのだ。河野太郎は変節漢でもなんでもなく、そのとき最大限にウケる言説を探して実践していただけではないか?

 私のライブでは若い観客を前に電力会社批判などをして喝采を浴びたが、あれも政策や信念ではなく「その時点で、その場でウケる」ことを言っていたに過ぎないのではないか。ただの媚態と言っていい。

安倍晋三首相と河野太郎氏 ©AFLO

 私は先ほど河野氏のツイッターを「甘えてくる奴は可愛がるが、批判する奴はブロックする」と書いたが、よく考えれば「その時点で、その場でウケる」ことはツイッターにはぴったりだ。その有効性に気づいたのだろう。

 だから河野氏がツイッターで強気を装うほどまたしても私には媚態に見えた。なのでそれを見抜いた者や、邪魔な批判者はブロックするのではないのだろうか。