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なぜ地方には救いがあるのか?

 こうした壊滅的な中央に対して、私は、混乱は続いているとは言っても地方に救いがあると思っています。

 地方の知事たちが何もしなければ、目の前で人が倒れ、店が閉まり、街の活気は日増しに失われていきます。現場を抱えているだけに、何かをやらなければならないという使命感や焦燥感が、中央とは比べものになりません。

 もしかしたら、こうした「現実」を抱える地方の首長たちの存在があることが、敗戦まで誰も止められずに突き進んだ太平洋戦争との違いで、光明となりえるのです。

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広島・長崎に原子爆弾が落とされ、太平洋戦争は終結した ©文藝春秋

 地方は「終わり」が見えないからと言って、現実に目をつぶるわけにもいかない。住民のニーズをどれだけ把握し、地域の実情に合わせて問題を極小化できるか。本気で知事たちがコロナ問題に向き合うことで、これまで見えてこなかった「うちの県の課題はここにある」という発見もあると思います。ひとつひとつ課題をクリアしていけば、これまでは語られるばかりだった「地方分権」が一気に進むかもしれません。

行き詰まる北海道・鈴木、大阪・吉村は「×」

 新型コロナウイルスの初動対応で活躍した知事たちも、いま第2波に立ち向かいながら、小池知事と同様に、壁にぶつかっています。

 たとえば、北海道の鈴木直道知事の勢いは、春先以降、徐々に失われつつあります。圧倒的な道民からの支持と中央政界とのパイプで引っ張ってきましたが、長期戦になるにつれて中央行政との連携がさらに求められるようになってきているのです。公務員出身ではありますが、中央官庁出身ではない難しさにぶち当たっています。

 また、「大阪モデル」など独自政策を打ち出して脚光を浴びた吉村洋文知事も、正念場を迎えています。「5人以上の会食はやめてください」(7月28日)など具体的な数字をはっきり出す「言葉の人」ではありますが、これだけ大阪で感染拡大が起きている中でどういう手を打てるのか。コロナ解決には地域に密着して、小さな単位に落とし込んで解決していくことが不可欠ですが、秋に住民投票を控えている大阪府と大阪市の統合は、ともすれば逆方向の話。長期戦の中でどういう手を打っていけるのか。若い知事たちが真価を問われています。