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──法律ができたことで、学校側の対応は改善したと思われますか。

鬼澤氏

鬼澤 推進法ができたことで、いじめを学校全体の問題とみる流れはできてきたと思います。教師は授業だけでなく、保護者対応や部活、生徒指導など、多くの業務を抱えています。いじめが起きた時に一人の教員が抱え込むのではなく、学校組織として対応していくことは、いじめ防止に有効だと思います。

全国で導入される「スクールロイヤー」とは

──学校側の対応を手助けする「スクールロイヤー」が全国で導入されると聞きました。スクールロイヤーについて詳しく教えてください。

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鬼澤 学校ではいじめや体罰、部活動の事故、不登校、保護者とのトラブルなど、さまざまな問題が起きます。こうした問題解決の手助けをする弁護士がスクールロイヤーです。

 2015年にはじめて導入が検討されたのは、いわゆる「モンスターペアレンツ」といわれる、保護者の不当な要望に対応するためでした。その後いじめ問題や虐待などで学校側の誤った対応が次々と表面化し、スクールロイヤーがますます必要とされてきました。また、2017年度から、文部科学省で、調査研究事業も行われました。

 2019年に千葉県野田市の小学4年生栗原心愛さんが虐待死したとされる事件でも、学校や教育委員会の対応が批判を受けました。もしこの時、この学校にスクールロイヤーがいれば、心愛さんが父親の暴力を訴えたアンケートを父親に交付してはいけないとアドバイスし、一緒に対応を考えることができたはずです。こうした事件を二度と繰り返さないためにも、スクールロイヤーによる課題解決が期待されています。

──具体的にどんな支援をするのでしょうか。

鬼澤 スクールロイヤーが介入する典型的な事例の1つは、いじめ問題への対応です。学校には、いじめの被害者と加害者が両方在籍していることが多いので、被害者側の支援のみならず、加害者側への対応も極めて重要です。

©️iStock.com

 マンガ『息子がいじめの加害者に?』では、被害者側と加害者側の事実関係に相違がありませんでしたが、仮にここで加害者側が違う見解を示し、学校側が十分に調査をせずに加害者側の言い分を認めたとしたらどうでしょう。「うちの子は被害者なのに十分話を聞いてもらっていない」「学校は隠蔽しようとしている」など、被害者の保護者に不信感を抱かせ、事態が悪化してしまいかねません。

 スクールロイヤーに求められているのは、子どもと保護者、学校の間に入り、事実関係を調査すること。そして、学校の対応が適切かどうかを、第三者的に判断してアドバイスをすることです。