——事務所を離れたあとに、元ジャニーズであることを明らかにしたい方、隠したい方など、さまざまなケースがあると思いますが、Aさんの場合はいかがでしょう。
「自主退所か否か、退所のタイミングや年齢、目指す業界によって違ってくると思いますが、私自身はジャニーズを離れてしばらく“元Jr.”と見られることを嬉しく思ってはいませんでした。やはり、先入観やバイアスがある状態で見られてしまうからです。
しかし、それも時間の解決や精神的な成長により納得することができました。今ではジャニーズ時代の活動経験はかけがえのない財産だと思えるようになり、私の個性であり誇りだと感じています」
——ジャニーズJr.として活動したことのメリット、デメリットがあれば教えてください。
「メリットは、ほとんどの人が体験できない貴重な経験ができること。また、子どもながらにプロの大人たちに囲まれて仕事をするのは大きな社会勉強になりました。デメリットは、私にとっては特になかったと思います」
「定年制の導入には賛成です」
——今回、「ジャニーズJr.の22歳定年制」が発表されましたが、どう感じましたか?
「定年制の導入には賛成です。そうですね、もっと早くからあるべきだったのかもしれません。
芸能界で生きていくには、時代や業界の潮流、事務所の方針、自身の立ち位置や適性を冷静に判断する力が必要です。22歳にもなればそれらの能力はある程度備わっていないといけませんし、自己判断が難しければ事務所が判断するでしょう。そのタイミングとして22歳というのは適切だと思います。
芸能活動をずっと続けていくのならジャニーズでの経験は活きますが、最終的に他の道を選ぶならば、早く見切りをつけた方が成功の可能性が高くなります。
活動に行き詰まったJr.が不祥事を起こしたりしてネガティブな話題になることも散見されるので、事務所としてはリスクヘッジの意味合いが強い対応に見えるかもしれませんが、早めに新しい道を歩きはじめる機会を与えるという意味では、ある意味で“愛”だとも思います」
——現在、ジャニーズJr.は約200名ほどいると言われています。活発に活動している方もいれば、なかなか波に乗れず伸び悩んでいる方もいますよね。
「ジャニーズ事務所に身を置くのは、キャリアのギャンブル性が非常に高いですよね……。運や才能の要素も大きいですが、それ以上に“上役”に気に入られるかどうかが重要だと私は感じていました。積極的に人間関係を作れず、受動的にレッスンや仕事をしているだけでは生き残れない世界だと思います。
在籍歴が長いのに波に乗れないのであれば、自身の売り込み方を検討する必要がありますし、試行錯誤しても状況が変わらないのであれば、引き際も考えるべきだと思います。厳しい言い方ですが……」