ファンに貢がせる「ホストみたいなバンドマン」は減少
ライブ活動だけでなく、物販もセルフプロデュース。CDもジャケット違いの限定版をいくつもリリースするなどして稼ぐのが一般的になっていったという。
「地下アイドル業界と似てます。いま一番稼げるのはチェキですから。ツーショットとか、サイン入りとか、ライブごとに売れるので利幅が大きい。チェキの物販次第で、次のアルバムが作れるかどうかという世界みたいです」(坂下さん)
形は変わったが、V系バンドは今も熱心な「バンギャ」たちに支えられている。しかし、バンドマンになるタイプには変化が起きているという。
「昔みたいにファンに貢がせてとっかえひっかえするホストみたいなバンドマンはいなくなりましたね。やっぱりネットが発達して、やらかすとすぐに広まってしまいますから。いまの若い子たちはみんな真面目で、純粋に音楽が好きというタイプが多いですね」(坂下さん)
バンドもファンも歳を重ね、色恋関係は落ち着いてきたというのもある。
「結成20年以上というバンドもたくさんいますからね。最近は、再結成とか、復帰する人も多いです。すると、結婚して子育ても終わった当時のバンギャたちが、時間にもお金にも余裕があるからライブに戻ってくる。50代の『オバンギャ』が、いまも最前でヘドバンしてますから(笑)。みんな若い頃に脳震盪で倒れたりするのを何度も経験してるから、首が太くなってるんですよ」(飯田さん)
「AREAの代わりとなるハコを作って欲しいですね」
新人からベテランまで、かなりの数のバンドがV系のシーンで活動を続けているが、彼らが目指すのはもはやメジャーデビューではない。
「V系といっても、基本はロックバンドなので、やっぱり大きな会場でライブがやりたいんですよ。目標は、昔も今も『武道館』。CD100万枚売るよりも、紅白に出るよりも、フェスでトリを務めるよりも、武道館でライブをやるというのが夢なんです」(飯田さん)
だからこそ、ライブハウスが重要なのだ。