捨てることは戦略的に重要なんです
――クイズエリート開成といえども、弱点はあるんですね。
後藤 流行りの女優とか言われても全然わかりません。
植田 特に芸能については、世間の人からだいぶ遅れていると思います。この辺りをカバーするにはテレビを見るのが一番なんですけど、部員でテレビ見てるのってほとんどいないんじゃないかな。
――でも植田くんは「Qさま」にも出演したことがあるんですよね。
植田 自分が出たら一応見ますけど、普段はまず見ないですね。あ、でも小学生の時は「平成教育委員会」とか「ヘキサゴン」とかは好きでした。中学受験の問題が出題されることもあったので、見てたんですけど。
後藤 この学校は極端な人が多いから、テレビ見るより問題集読んでるほうが楽しいって人がいっぱいいるんです(笑)。
――クイズの世界には「女子問題」っていうジャンルもあるんですよね。こういったアイドルの問題や、ファッション系の問題は苦手ですか、やっぱり。
後藤 いや、そんなことないです。僕、妹とかなり仲がいいのでよく話をするんですけど、女子に人気のアプリとか色々聞いて知識を仕入れてます。
植田 とにかく芸能問題だけは最初からあきらめて捨ててます。クイズって集中力勝負なので、捨てることは戦略的に重要なんです。これは捨てようと判断してしまえば、その分スタミナが維持できる。早押しだけじゃなくて、記述問題でも同じで、わからない問題で止まって悩んでしまうと、そのあとにある解ける問題も解けないまま時間切れになることがありますから。
後藤 これはクイズじゃなくて、学校の試験でも応用できます。
植田 クイズやっててよかったことの一つは、なんでもサバサバ、立ち止まらずに進める癖がついたことかもしれません。
覚えたことを「問題文」にして情報整理する
――ところで、お二人の知識の増やし方、勉強法ってどんなものですか?
後藤 基本は定型とされるクイズ問題をさまざまな方法で覚えこむところから始まります。問題文を丸々書いて覚える人もいれば、黙読して記憶する人もいます。
植田 聞いて覚える人もいますし、中には口に出して頭に刷り込む人もいます。で、その答えから今度は自分なりに知識を広げていくんです。
――それはどうやってするんですか?
後藤 今の時代、スマホで検索すれば何でも出てきますよね。例えば、何でもいいんですが、聖徳太子が答えの問題を解いたとしますよね。そしたら次に、聖徳太子をウィキで検索、あるいは図書館で調べる。すると聖徳太子についていろんなことがわかります。飛鳥時代の仏教伝来のこととか、その名前が最初に出てくる書物とか。それを今度は覚えていって、自分の知識を広げていくんです。
植田 クイズ的な勉強法特有なのは、そこで覚えるにとどまらず、クイズを作問するという一手間をかけることかなと思います。「聖徳太子」「607年」「世界最古の木造建築」というそこで得たキーワードをいったん自分で「問題文」にして情報整理するんです。「西暦607年に聖徳太子が建設した、現存する世界最古の木造建築の寺院は何?」「法隆寺」というように。