日本固有な「遺族フレンドリー」な流れ
──国内と海外とではまた事情も違うんでしょうか。
古田 はい、実は一身専属性から承継OKに変更するという、遺族フレンドリーな流れは、いまのところ日本固有なところがあります。海外でも個別相談の窓口は設けるようになっていますが、利用者側が生前から準備しておくのが基本スタンスといえます。
象徴的なのはEvernoteで、持ち主が亡くなった時に遺族からアカウント開示の要求があっても一切応じませんと、規約の中に明記しています。本人が生前に記した法的効力のある遺言書が存在していて、その中にこのEvernoteのアカウントを誰々に託すと書いてあれば応じるが、それ以外は無理だと。
──Evernoteの中に秘密のデータを入れておけば、自分の死後も安全なわけですね(笑)。
古田 そういうことです。ただ逆に、Evernoteの持ち主が生前から家族に託して、複数人でアカウントを共有するのは認めるというスタンスなので、本人がきちんと生前準備をして、いざという時には頼むねということでログインできるようにしておけば、それを咎められることはないですね。
──今回は、3回にわたり現場からの貴重なお話をありがとうございました。
◆今回のポイント
(1) パスワードは購入時の箱や書類、郵便物などからヒントを探すのがよい
(2) ログインさえできれば、ブラウザやメールの履歴、通話履歴からその人の行動を探れる
(3) パスワードを間違えて自動消去に至らないよう遺族間で事前に話し合いを
◆「デジタル遺品最前線」はこちらで最初から読めます!
♯1 自分のパソコンやスマホを残して死ねますか? http://bunshun.jp/articles/-/4808
♯2 家族や友人にどうしても知られたくない趣味があるとき http://bunshun.jp/articles/-/4811