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藤井    自分がAIを使い始めたのは、将棋人生の途中からなので、そういう意味ではやはり、本物のAI世代、ジェネレーションαというのは、自分のもう一つ後の世代だなと実感します。そういった方々が将来どんな将棋を指されるのかは、自分もすごく楽しみにしています。

丹羽    ジェネレーションαの人たちは、産湯を使うと同時に、インターネットの洗礼を受けているといってもいいかもしれない。生まれてすぐに、家族が写真をSNSにアップするとかね。ゼロ歳から、スマホの動画やゲームを見て育つ子もいるらしいし、幼児期からタブレット学習をする子もいる。そういう人たちが今後どのように育ってくるのか、非常に興味深いところだと思うんですよ。

 僕の予想では、藤井さんたちZ世代とα世代も、まったく違うのではないか。藤井さんは、幼児期はインターネットとあまり関係なく育っているんですよね。使い始めた頃のことを覚えているわけだから、物心がついてからデジタルに触れたということですか?

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藤井    そうですね、はい。

写真提供:日本将棋連盟

AIは、人が将棋の能力を鍛えるうえでも非常に有用なもの

丹羽    そうすると、物心つく前からデジタルに触れているジェネレーションαの子たちは、人間と人間の心の動き、「雰囲気」に対応するときには、ひょっとしたらものすごく弱いかもしれないですね。

 彼らが棋士になって、対局をする。向かい合った人間同士が自分の手で一つひとつ、駒を動かす。対局中は、お茶を飲んでもはなをかんでも、それら全部が将棋なんだよ。これは怖いことですよ。論理一辺倒で育った子たちがどうなのか、まだ誰にもわかりません。藤井さんはどう思いますか?

藤井    AIは、人が将棋の能力を鍛えるうえでも非常に有用なものだと思います。それを早い段階から使える次の世代にとっては、当然メリットになり得るとは思います。一方でAIは、実際の対局にあるいろいろな思考のプロセスなどを、少し飛ばして見せてしまうところがあります。AIによる「答え」だけを見て勉強して、それだけで強くなっていけるかというと、やはりそこはけっこう難しいところがあるのかなと思います。

 自分も今、基本的に研究はAIを使っていますが、指し手や形勢について、自分なりに解釈できることが大事かなと思うので、AIの示す読み筋、形勢判断、評価値に対して、自分なりに考えて判断しています。