そんな中で、この秘め事の現状を明らかにしたのが、2017年のTENGAヘルスケア社の「全国男性自慰行為調査2017(通称「オナニー国勢調査」)」です。現代日本人男性のオナニーの実態に切り込んだわけですが、セクシュアリティの社会学を研究する専門家から見ても、画期的な調査研究と言えます。
西野 ありがとうございます。
赤川 興味深いデータばかりなのですが、非常に面白いと思ったのが、「普段マスターベーションの時に見るものランキング」。
第1位は、ダントツで「実写アダルト動画」。しかも無料のコンテンツにお世話になっている(笑)。アダルトDVDなどが苦戦するのも、よく分かります。ただ、デジタルの世の中だということは分かっているつもりではあったものの、「グラビア写真」や「アダルト雑誌」などが、これほどまでにマイナーになってしまったというのは、ちょっと意外でしたね。
西野 「妄想のみ」という“イマジネーション命”の人も、13%いらっしゃいました。
赤川 でも、やはり少数派ですよね。
調査では、本節のテーマの「うしろめたくて話せない」という実態も、数字で明らかにされました。「気軽に相談する相手はいる?」の問いに対して、「そのような相手はいない」が7割超。こちらは、まあそうだろうね、という結果です。
女性のほうが積極的に?
西野 一方で、男性には「同性の友人」に相談している人が20%近くいるんですね。女性の場合は、もっと低いように感じます。
赤川 たしかにそうなのでしょう。同時に、いろんな調査をすると、オナニー経験率などについても、女性は男性よりもかなり低い数字になるんですね。本当はしているのに、調査にさえ「していない」と答えるような「抑圧」も感じられるわけで、それ自体が社会学のテーマでもあります。
ただ、最近は状況が変化してきたような感じもするのです。大学でセクシュアリティに関する授業で質問すると、女性のほうが、はるかに積極的に手が挙がるんですよ。男性は、黙ってうじうじうつむいている人も多い。
西野 冗談として性を語るのは得意だけれど、真面目な話は苦手という男性は、身近な人でも多いなと感じます。
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