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日本にはPRすべきものがたくさんある

 日本の若年女子にインタビューしていても、「韓国製品はパッケージやデザインが日本製品よりオシャレ」という言葉がよく聞かれるようになりました。機能よりデザインやPRという特徴が韓国企業には全体的にあり、逆に日本はデザインは質素で地味、PRより機能という特徴が全体的にあるように、長らく広告業界に身を置いてきた人間として感じています。日本の若者の間では韓国フードが大人気です。チーズタッカルビやチーズホットクに始まり、毎月と言って良いほど、流行りの商品が韓国からきて、日本の若者たちがこぞってそれをインスタグラムにアップします。韓国でも若者調査を何年も行ってきた立場として、食の味で日本は絶対に負けていないと確信していますが、「インスタ映え」という点では負けています。「花より団子」は日本食。「団子より花」が最新の韓国フードで、インスタグラムなどのSNSが普及すればする程、「花」要素が重要な社会になってきているのに、日本の飲食業界はこの意識が弱いように思います。「たくさん説明するのは無粋」という日本人の常識は、日本的な会議にも表れています。会議で議論はしない。事前に会議メンバーに根回ししておき、会議の席では目配せするだけで了解を取って、終わり。これではPR力が培われなくて当然です。

 PR下手にもかかわらず、日本にはPRするものがたくさんあります。第二章でおわかり頂けた通り、魅力が多様すぎて、一体何をPRしていいかわからないという問題点もあるでしょう。韓国はK-POPとドラマと家電とトレンドフードと化粧品・ファッションとPRすべきジャンルがある程度絞られていますが(ある意味それだけ懐がまだ浅い)、日本はそうではありません。

 それは日本の電化製品が高機能・多機能すぎてアピールポイントを一点に絞れず、魅力や売りを一点に絞ったサムスンやアップルといった海外製品に押されて防戦一方だったここ十数年を、象徴してはいないでしょうか。商品にしろサービスにしろ、時代は「一言でキャッチコピー的に言い表せる魅力」を求めています。SNSがこれだけ普及し、人々が大量の情報に触れるようになった今、明確で分かりやすい訴求以外はすぐにスクロールされ、PRとして成り立たなくなっているのです。Z世代の、特に女子の間では、日本より韓国の方が進んでいる国だと考える人が大変増えています。これも様々な日本企業が、自国の若者にさえうまくPRできていないことが大きな原因だと思います。

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