今回も日本不買運動は不発に終わった
日本車と同様、日本を代表するコンテンツも選択的不買、つまり、韓国の人たちが自身の都合がよいように消費したものの1つとなった。
20年3月、韓国で新型コロナウイルスの感染が拡大し、外出の抑制を余儀なくされた人たちは販売を開始したばかりの任天堂のゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」(通称:あつ森)に殺到した。韓国で任天堂のゲームを販売している流通会社の大元メディアは、20年1月から6月の上半期に任天堂スイッチが前年同期比61.5%増の約17万台、ゲームソフトが107.7%増の61万本販売されたと発表している。
「あつ森」の発売直後の4月から6月期だけでも、ソフトの売り上げは32万本余に達し、前年比189.7%増を記録。「あつ森」がリリースされる直前、不買運動家は、任天堂のゲームを買わないように呼びかけたが全く奏功せず、ソウル市龍山の電子商店街には長蛇の列ができた。また、通信販売の大手企業が、通常価格36万ウォンから39万ウォンのスイッチが29万9000ウォンで購入可能だと告知すると、受付開始から1時間で56万件の問い合わせが集中する過熱ぶりとなった。
5月5日の子供の日のプレゼントでも任天堂スイッチと「あつ森」は一番人気となり、コロナ禍で不足したマスクより、入手が難しいとさえ言われたほどだった。総合スーパーなど、大元メディアを介さずに韓国任天堂から直接供給を受けている店もあり、韓国内の販売台数は、大元メディアが発表した数量の倍近くに上るとみられている。
総括すると、一連の運動で、個人向け消費材は大幅に落ち込むことになったのは事実だ。しかし、日本の韓国向け輸出は94%が資本財で、不買運動の対象になった消費財は6%程度に過ぎない。不買運動の影響を受ける輸出品は最大で3%ほど。実際の影響は0.2~0.8%程度とみられている。その意味では、日本製品不買は最初から不発に終わることがわかっていた運動と言えるかもしれない。
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