予想されるのは徴兵ではなく“緊急募集”
いままさに“時間を稼ぐ”戦いを繰り広げているウクライナでは、市民兵が組織されて数字の上では100万人規模の軍隊が組織されている。日本でも徴兵が行われることがあるのだろうか。
「日本では法律上、徴兵はできません。市民兵の組織には法律が必要でしょう。ただ、自衛隊の緊急募集は始まるでしょうね。年齢制限を広げたり訓練期間を短縮したりしたうえで、あくまでも戦闘は自衛官として行うことになると思います。組織的な動きは無理でも銃を撃つだけなら数日で習得できますし、ウクライナでも対戦車砲を撃って逃げるようなことはしていますから。とはいえウクライナのように、100万人もの人が手を上げてくれるかどうかは微妙なところだと思いますが」
スリム化が進んだ自衛隊と同じくらい山下氏が心配しているのが、日本政府に迅速な判断が可能かどうか、だという。
「侵攻作戦を食い止められるかどうかはスピード感ある政府判断にかかっています。サイバー攻撃や電磁波攻撃が行われた時に敵の侵攻を察知し、敵艦船群が日本に近接した時に防衛出動を下令し地対艦ミサイルに発射命令を出せるのか。以前に比べて日本の危機管理体制は強化されていますが、やはり時間がかかってしまうのが現実です。もたもたしていると島を占領されたり住民に犠牲が出ることになりかねません。有事には政府に素早く適切な判断を期待したいですね」
戦争は起こらないことが一番だが、起きてしまってから準備するのでは間に合わない。日本にどんな準備が必要なのかは今からでも考える必要があるのだろう。