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三浦 「ばらまく人」っていうのは不倫が上手な男性って言っていいんですか。

中野 不倫に向いている人というか、たくさんの女性とつき合うのに向いている人ですね。やっぱりいるんですよそういう人。で、そういう人は経済的にも優位に立ちやすい。不倫という関係によってそれが証明されているということだけだとは思うんですけど。

三浦 経済的なプレデター(捕食者)気質みたいなのと関係しているということですか?

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中野 それはあります、あります。まず説明しておくと、新奇探索性という有名な形質があるんですね。ドーパミンという神経伝達物質の動態に特徴があるんです。

仕事ができる男ほど浮気する?

中野 ドーパミンは快楽をもたらし、意欲を高める脳内物質で、性愛の楽しみと関連の深いものです。クリエイティブな仕事で独創性が求められたりする場合、ドーパミンによって駆動される脳機能がいい方に作用することがあるんですね。

三浦 作家とか音楽家とかで、恋愛をしていた方が創作できるっていう人がいますよね。

中野 創造性とドーパミンの関係はとても興味深いものがあるんですが、ここで深堀りするともう一冊、別の本ができてしまう量になるのでまたいつか……。新奇探索性の高い人というのは、一言でいうと、ドーパミンの要求量が高い人です。新しい刺激がないとドーパミンが得られないので、いつもいつも、新しい何かを探している。この人たちの、性的な振る舞いには特徴が3つあって、1つは浮気をしたことがあるかないか。もう1つはその人数。もう1つはワンナイト・アフェアの回数。その3つでデータを取ると、ドーパミン要求量の高い人って、そうでない人の大体倍ぐらいなんですね、どの数値も。有意差があるどころじゃない。

三浦 かなり特徴的なタイプの人ってことですね。

中野 それからもう1つ、テストステロンの多さというのがあって、男性ホルモンが高い人の方がより積極的にリスクを取るという行動をする。

 ロンドンの金融街であるシティで、唾液中のテストステロンの量を測った研究があったんですね。すると、テストステロン濃度の高い人の方がその日のトレードの成績がよかった。ハイリスク・ハイリターンの勝負ができる人の方が金持ちになりやすいですし、テストステロンの高い人の方が性的にもアクティブ。英雄色を好むみたいな話ですけど。

 つまりは脳のタイプがすごく違うんですよね。浮気を繰り返す人が「病気だ」とかって言われますけど、病気でも何でもない。もともとそういう形質なんですよね。目が青いとか、髪が黒いとか、そういうレベル。