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「ヤクザ案件」の網羅には幅広い知識と経験が必要

 前出の神奈川県警のOBも「4課は相手がヤクザだったらすべて捜査する」と同様の趣旨の説明をする。

「暴行、傷害などの典型的な事件もあれば経済関係の複雑な事件も多い。だから勉強する法律は多い。ヤクザはシノギ(資金獲得活動)のためにはいろいろな知恵をつけて活動している。その上を行くような捜査が求められる。そのためには幅広い法律の知識や、捜査の経験が必要になる」

 法律などの知識以外に、捜査対象であるヤクザについての知識も必要となる。

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「事件の捜査だけでなく日常的に捜査の対象となっているヤクザについての知識を身につけておく必要がある。相手の組織形態、トップの人間、それだけでなく執行部に入っている幹部らの名前や役職、役割、さらに人となりについても頭にインプットする必要がある。

 情報収集のためにヤクザの幹部に接触しても、相手から『この刑事は何も分かっていないな』と思われたらダメ。逆に『この刑事は自分たちのことをどこまで把握しているのだろうか』と疑心暗鬼にさせるほどでなければならない」(同前)

指定暴力団山口組弘道会の本部事務所に家宅捜索に入る警視庁の捜査員 ©時事通信社

4課という名称がなくなっても…?

 相手を知るためには組織の沿革や、幹部たちの人物像についての深い知識も必要になってくる。

「勉強のためにヤクザについての書籍を読み漁ったこともある。若いヤクザに『昔の親分はどうした、こうした』などと所属している組織の歴史などを説明してやると『この人は自分たちのことを良く知っているな』となる。雑談をしつつ情報を取れるよう人間関係を作る必要がある」(前出・警視庁組対4課OB)

 4課という響きが聞かれなくなることに寂寥を感じる刑事OBや現役たちが多いなかで、あるOBは次のように指摘した。

「自分も4課という名称には愛着があるし、寂しさはある。しかし、4課という名称がなければ捜査ができないということではないし、警察組織はこれからも捜査を続けなければならない。やるべき仕事をやるだけだ」