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〈柳生博さん 死去〉“息子の死”と“妻の認知症”の先に…「涙で暮らしているわけではなくて、こんなに楽しい」

 4月16日、俳優の柳生博さんが老衰のため山梨県北杜市の自宅で亡くなっていたことが分かった。享年85。

 俳優として活躍しながら、「100万円クイズハンター」では12年間司会をするなど、マルチな才能で視聴者を楽しませていた柳生さん。2004年からは日本野鳥の会会長に就任し、自然保護活動にも努めていた。

 2019年の会長退任時、柳生さんは「週刊文春」のインタビューに応じ、引退の心境、息子の死、妻・二階堂有希子さんへの想いを語っていた。当時の記事を公開する。(初出:週刊文春 2019年08月15・22日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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「日本野鳥の会」会長就任の秘話

 2019年7月、日本野鳥の会は、俳優・柳生博(82)が会長職を退いたことを発表した。「100万円クイズハンター」(テレビ朝日)の司会者としても活躍した柳生は、八ヶ岳の山麓で生活。広大な雑木林にレストランやギャラリーを備えた「八ヶ岳倶楽部」のオーナーとして年間10万人もの訪問客を迎えている。同倶楽部内で、今の心境を語った。

©文藝春秋

 会長を引退してよかったなと思うのは、ずばり議長をやらなくてよくなったことです(笑)。創立85周年を迎える「日本野鳥の会」は、約5万人の会員、サポーターを抱える日本最大の自然保護団体。会長は議長として冷静に議事進行をしなきゃならないし、人事や運営にも関わらなければならない。僕はもっとざっくばらんに喋りたかったから、そこから解き放たれたのは何より嬉しかった。

 僕は40年以上前、ここ八ヶ岳の人工林を買い、幼かったふたりの息子たちと“野良仕事”をして広大な雑木林を作ってきた。もとの木を伐り、本来八ヶ岳にあった広葉樹を植えていくことで虫も鳥もいなかった土地を蘇らせました。

 自然の中で鳥のさえずりを耳にする生活をしているうちに、野鳥に興味を持ち、1986年から野鳥の会の会員になったんです。

 会長就任のきっかけは15年前、強引に“拉致”されて口説かれたこと。僕はNHKホールで竹下景子さんとイベントに出演していて、「終わったら何を食べに行こうか」なんて楽しみにしていたのに、野鳥の会の幹部4、5人に渋谷の居酒屋で飲まされてね(笑)。

「じゃあ、やるよ。でもせいぜい2、3年だよ」と。