「彼は目立つ大技よりも、全体のスコアが高くなるプログラムを作ることを重視する。キム・ヨナを教えていたときに、ライバルの浅田真央のようにトリプルアクセルを習得したがるヨナを諫めて、それよりも得点の高い3回転ルッツ+3回転トーループのコンビネーションを磨いて金メダルを取らせました。オーサーと羽生の関係に再び軋みが生じているのではないか、そう見られ始めていた矢先の事故でした」(同前)
20人超のスタッフで構成されるチーム・ブライアンは、スケーティング、ジャンプ、スピンなど専門のコーチによる分業制を採っており、オーサーは彼らをまとめる総監督の立場だ。
「今、コーチの中で一番羽生と近い関係なのは、ジャンプが専門のジスラン・ブリアンです。羽生が常に新しいジャンプを跳ぼうとするからです」(同前)
羽生が負傷したNHK杯の公式練習でも、リンクサイドにいたのはオーサーではなく、ブリアンだった。そのブリアンは日本チーム所属のコーチとして、現地入りする。羽生以外にも4選手を五輪に送り込んだオーサーは韓国チームのコーチの肩書きだ。
ただ、ケガというアクシデントは、結果的に羽生とオーサーの結びつきを強めるかもしれない。
「ケガによってプログラムは修正を余儀なくされ、昨季までのバリエーションで戦うことになる。羽生の演技には高い出来栄え点と演技構成点がつくので、4回転ルッツを跳ばなくても、金メダルを争うネイサン・チェンや宇野昌磨に十分勝てる。奇しくもオーサーが組みたかったスコア重視のプログラムになりそうです」(同前)
韓国入りして13日、公式練習に臨む羽生の傍らにオーサーの姿があった。
「トロントでは、韓国での試合時間の午前10時に合わせて、夕方にリンク入りし、午後8時にピークを合わせた練習を行うなど、時差対策を行っており、4回転ジャンプも跳べていたようです」(同前)
羽生は13日の記者会見で言い切った。
「作戦が大事だと思っている。絶対に勝てるという自信がある」
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