文春オンライン

特集観る将棋、読む将棋

「藤井竜王は居飛車100%」「もっとも攻め重視なのは…」俊英3人が語った“トップ棋士の個性”とは

「藤井竜王は居飛車100%」「もっとも攻め重視なのは…」俊英3人が語った“トップ棋士の個性”とは

「オールラウンダー座談会」番外編

2022/08/13
note

羽生善治九段

羽生善治九段は1970年生まれ、1985年プロデビュー。(故)二上達也九段門下。タイトル戦登場は137回で、獲得は99期。永世竜王、十九世名人、永世王位、名誉王座、永世棋王、永世王将、永世棋聖の有資格者。棋戦優勝は45回。
2021年度の成績は14勝24敗(0.368)。王位戦で挑戦者決定戦、NHK杯でベスト4入りし、王将戦挑戦者決定リーグで残留するも、順位戦A級から降級した。B級1組を指すのは第51期以来、30年ぶり。
​デビューから40年弱、藤井聡太竜王だけでなく、大山康晴十五世名人ら昭和の大棋士とも戦ってきた。2022年度は通算1500勝を達成(歴代1位の記録) ©文藝春秋

――羽生善治九段はいかがでしょうか。オールラウンダー棋士として、10代からトップ戦線で活躍されています。

青嶋 羽生九段はオールラウンダーながら、最近はほとんど振り飛車を指されていません。数年前は四間飛車を指されていた時期もあるので、居飛車と振り飛車のバランスでいうと、広瀬八段に近いでしょうか。攻め将棋なのは間違いないです。渡辺名人ほどではないと思いますが、豊島九段や斎藤八段と比べるとどうでしょうか。

黒田 最近はほとんど居飛車ばかりですよね。攻め将棋で、豊島九段と渡辺名人の間ぐらいでしょうか。

ADVERTISEMENT

石井 渡辺名人ほどではないけど、攻め将棋ですよね。

山崎隆之八段

山崎隆之八段は1981年生まれ、1998年プロデビュー。森信雄七段門下。タイトル戦登場は1回。棋戦優勝は8回。
​2021年度の成績は17勝21敗(0.447)。初参戦の順位戦A級は降級となった。2022年度は、竜王戦で挑戦者決定三番勝負に勝ち上がった ©中田絢子

――最後は、独創的な指し回しと勝負術で、ファンを魅了している山崎隆之八段です。

黒田 受け将棋で、糸谷八段と永瀬王座の間でしょう。居飛車党ながら、たまに個性的な作戦を採用されます。

石井 居玉の駒組みが多いですよね(笑)。ほぼ居飛車党だと思います。純粋な振り飛車、例えば角道を止める四間飛車とかは指しませんから。受け将棋ながら、糸谷八段よりは先手相掛かりを指しているぐらいなので、攻め将棋でしょう。

青嶋 振り飛車のイメージはあまりないですよね。

黒田 たまに相振り飛車を指されますよね(相振り飛車は未開拓の部分が多く、力戦になりやすい。また戦いの性質は相居飛車に近い)。