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まとまったポジショニングマップは…

――全体を見てみると、トップ棋士は受け将棋が多いですね。

青嶋 そうですね。意外と。

石井 関西棋士が受け重視のイメージがあります。

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こうしてまとまったトップ棋士のポジショニングマップ ©文藝春秋

――現役棋士170名強のうち、もっとも攻め、または受けを重視するタイプは誰でしょうか。

石井 攻め将棋は純粋居飛車党の塚田泰明九段です(キャッチフレーズは「攻めっ気100パーセント」)。先後にかかわらず、毎回攻められますよ(笑)。

 いちばんの受け将棋は、中村修九段(愛称に「受ける青春」)。振り飛車も指されるオールラウンダーです。受け将棋の棋士でも、定跡で攻めが最善とされていれば攻めるはずなんですが、中村修九段は主導権を握りやすい先手番でもあまり攻めない作戦を採用しています。

 純粋居飛車党で受けるタイプは、木村九段でしょう(「千駄ヶ谷の受け師」と呼ばれる)。受け将棋なのと、受けが強いのはちょっと違います。木村九段は攻める展開も普通に指しながら、受けに回るのも苦にせずに強靭です。

――木村九段の受けは相手の攻めをただ防ぐというよりも、攻め駒を逆に責め立ててプレッシャーをかける受けが多いですね。

青嶋 確かに指し手の意味は受けでも、木村九段は受け将棋かといわれると違う気がしてきます。

黒田 女流棋士だと振り飛車党で攻め将棋がかなり多く、西山朋佳白玲・女王は菅井八段よりも攻め寄りだと思います。逆に里見香奈女流五冠は振り飛車党ながら受け将棋で、手堅い指し回しです。

里見香奈女流五冠 ©文藝春秋

――棋風を考えて、相手の指し手を予想することはありますか。

石井 本当に攻め好きの人と対局したときはありますね。絶対に攻めてくるのはわかっていますから。それを受けて立つかは、そのとき次第ですけど。

青嶋 棋風が出てくるのは、攻防の選択肢がいろいろあるときです。絶対に攻めないといけない場面では、受け将棋の人でも攻めてきます。