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特集観る将棋、読む将棋

2022/08/13

斎藤慎太郎八段

斎藤慎太郎八段は1993年生まれ、2012年プロデビュー。畠山鎮八段門下。タイトル戦登場は5回で、獲得は王座1期。
2021年度の成績は25勝16敗(0.610)。順位戦A級は8勝1敗で、2年連続の名人挑戦となった(結果は1勝4敗で敗退) ©文藝春秋

――2期連続で名人に挑戦した斎藤慎太郎八段。​詰将棋を武器にした終盤型で、最新定跡が主戦場となっています。弟弟子の黒田五段から見て、いかがでしょうか。

黒田 渡辺名人と似ていて、居飛車党の攻め将棋です。公式戦でわずかに数局、飛車を振ったこともありますが、 渡辺名人よりも居飛車党寄りでしょうか。

石井 棋風は攻め重視というよりも攻守が整ったバランス型に見えるので、私は黒田五段よりもう少し左でしょうか。渡辺名人のほうが細い攻めをつなげる展開をすごく好むイメージがありますし。

青嶋 へぇー。斎藤八段は渡辺名人と同じぐらいの攻め将棋だと思っていたんですけど(笑)。得意の詰将棋を武器に斬り合うのが得意なタイプで、攻めと受けだったら攻めの手を選ぶイメージです。

石井 「攻めるぞ、攻めるぞ」と脅しておいて、実際はあまり攻めないことも多い気がします。1月に指した羽生善治九段との順位戦A級もそういう展開でしたし。

青嶋 なるほど。確かに最近は手厚い将棋も多いから、斎藤八段の棋風も変わってきているのかもしれません。

黒田 迷ったら攻める印象ですが、渡辺名人よりはバランス型ですかねぇ。

永瀬拓矢王座

永瀬拓矢王座は1992年生まれ、2009年プロデビュー。安恵照剛八段門下で、青嶋六段は弟弟子。タイトル戦登場は10回、獲得は4期。棋戦優勝は2回。
2021年度の成績は35勝22敗(0.614)。王座3連覇に成功した。
2022年度は棋聖戦で挑戦し、練習将棋を行う仲の藤井聡太棋聖と初のタイトル戦になった。結果は1勝3敗で敗退。千日手が多いことでも知られる。8月末に開幕する王座戦では、豊島九段を挑戦者に迎えている 写真提供:日本将棋連盟

――永瀬拓矢王座は、一般的にはしぶとい棋風というイメージでしょうか。青嶋六段は同門ですね。

青嶋 居飛車中心とはいえ、いまでもたまに振り飛車を指します(公式戦で藤井聡太竜王に2局ぶつけて、1勝1敗)。渡辺名人、斎藤八段の2人よりは振り飛車の採用率は高いでしょう。あと受け将棋といわれますが、そんなにいうほどかなと思います。確かに終盤は受けますけど、序中盤は攻めます。まあ相居飛車の定跡だから攻めている部分はあるでしょうが、一局を通してずっと受ける感じではないです。

石井 そうだねぇ。

黒田 私も青嶋さんと同じような意見です。

石井 青嶋さんの点より、もうちょっと左のほうがいいでしょうか。

青嶋 ほかの人との比較を考えると、受けのほうにもう少し寄ったほうがいいかな。

石井 永瀬王座の一番の特徴は、手数が長いことだと思います。元振り飛車党で、新鋭のときはもっと受け将棋でした。三間飛車で誰も指さない作戦(3二金型の石田流)を採用して、ずっと受けまくっているんですよ。ものすごく強かったです。

青嶋 居飛車に穴熊とか好き放題に組ませるけど、厚みで受け切りにいってましたね。

石井 永瀬王座ほど、極端に戦法と棋風が変わった棋士はいないんじゃないですか。戦法に限れば広瀬八段も変わりましたけど。