「マンガ家は前より稼げなくなった」
――それからはマンガ家だけに留まらず、マンガ家のプロダクションやバーなども経営されていらっしゃいます。その原動力は何でしょうか。
浜田 マンガ家のプロダクションを作ったのは、先生たちに仕事を振りたいなと思ったからです。昔はやっぱり連載を持ってなんぼだったし、単行本を出したら一生安泰って言われていたけど、最近は全然そうじゃなくて。
連載を持っていても単行本を出してもすごく稼げるわけじゃないんです。オンラインの媒体が増えているから、マンガ家が活躍できる畑は広がったけど、その分、前のようにじゃんじゃん稼げることはなくて。
私がデビューする少し前の頃は、大手出版社では、単行本は10万部からスタートだったそうです。1冊500円の本の場合、1部当たり印税が50円だとしますよね。10万部スタートだと印税だけで500万円ですよ。でも今は、1万部刷ってもらえればすごいねの世界になっているから全然稼げない。
――それでマンガ家のために少しでも力になろうと。
浜田 そうです。原稿料の相場がわからないと、とんでもなく安い原稿料でお願いされたりしちゃう。そういう時に、間にプロダクションが入っていれば適正な原稿料の交渉ができる。
それに企業マンガ案件だと予算が結構出るんじゃないかと思って「こういうイラスト描きますよ」「キャラクター作りますよ」と売り込みをしてその仕事をマンガ家に振ったりして。PR広告案件だと通常の10倍くらい原稿料がもらえることもあったんです。
お金で困っているマンガ家を助けたいと思って、最初は無償でやっていたんですが、さすがに忙しくなってきたから10年くらい前に会社を立ち上げました。自分が周りの人のおかげでここまでやってこれたから、次の世代に還元したいと思ってやっていますね。
写真=釜谷洋史/文藝春秋
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