文春オンライン

2022/10/27

“天才的なトレーダー”として才能を開花させたという伝説

「エクシア合同会社」の設立は2015年にさかのぼる。代表社員(株式会社における代表取締役にあたる)の菊地翔は1977年生まれ。東京モード学園を卒業後、6年半の間にFX取引を独学で学び、“天才的なトレーダー”として才能を開花させたという伝説がある。

エクシア代表の菊地翔氏(同社HPより)

 同社の“出資者”はおよそ5000人、実に530億円以上の資金を集めている。莫大な出資金を集めた錬金術はさほど複雑ではない。端的にいえば、「貸付」と「投資」の単純なスキームである。以下に説明しよう。

投資の世界ではあり得ないようなパフォーマンス

 まず「合同会社」であるエクシア本体が、社員権販売の名目で出資者を募る。次いで集めたカネを、シンガポールにある子会社の「エクシアプライベートリミテッド」に貸し付け、運用させる。そこで生じた運用益と、貸し付けの返済金がエクシア本体に入る。さらに、同じく投資を主な業務とする「エクシア・アセット・マネジメント」と「エクシア・デジタル・アセット」の2法人が存在し、どちらも会計上は子会社になっている。

エクシアの入居する六本木にある高層ビル

 子会社を通じて資産や株式の売り買いして利益を上げるというのが、エクシアという会社のビジネスモデルである。金融取引業者が出資者を募るのはハードルが高い。しかし、「合同会社」にすれば、金融取引会社などに課せられる”縛り”から解放される。「アセット・マネジメント」と「デジタル・アセット」の2社は当然、金融取引業の免許を取得している。が、実質的にファンドに等しいエクシア本体は合同会社という形態を取り、金融取引業などの免許は取っていない。

 金融庁の軛を避けるために「合同会社」の体を取るというのは過去にも例がある。「社員権」を売りさばいては出資を募り、社業の実態などないまま配当金だけが膨らんでいく。資金が回らなくなり、やがて出資者にリターンを払えなくなったとして詐欺事件に発展したケースは少なくない。

 かように「合同会社」は怪しげなスキームをとりがちだ。だが、それでもエクシアは500億円以上もの金を集めた。それだけ投資家の支持を得たのだ。なぜエクシアがこれほどの集金力を誇ったのか。詳細は後述するがエクシアの運用益、パフォーマンスは、投資の世界ではあり得ないような数字が並ぶ。

 2016年から2019年までの年間運用利回りを列挙する。


 2016年 97.36%
 2017年 43.84%
 2018年 43.99%
 2019年 35.33%


 驚くべき数字であり、これだけのパフォーマンスを見せられれば、このゼロ金利の時代、少々の怪しさに目をつぶってでも投資したくなるのが人情か。