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「一体どうなっているんだ」裁判官は思わずそうこぼした

「一体どうなっているんだ」裁判官が思わずこぼしたセリフには、異常な対応を繰り返すエクシアへの怒りが滲んでいた。

 担当者の現れぬまま、時刻が13時を回った頃だった。仕方ないな、とひとりごちた裁判官は、同行した書記官に時間を記録するように指示し、受付の前を通り過ぎ、オフィスに連なる廊下に赴いた。

「当裁判所(東京地裁)は申立を理由あるものと認め、次の通り決定する」

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 こう声を張り上げ、裁判所が保全を認めた「証拠」の項目を読み上げていく。それは「会社定款」から始まり、「菊地翔(「エクシア合同会社」代表社員)宛の役員報酬明細書」、「エクシア合同会社名義の銀行預金口座、証券取引口座の取引履歴」など。保全の対象になった項目は20に及んだ。

 裁判官の朗読が終わってもなお、エクシアの担当者はあらわれない。異様な状況の中、裁判官は「(証拠保全の執行について)拒絶ということでよろしいですか」と確認し、「それでは、以上の検証目録、物件について提示命令を出します」と宣言した。

裁判官の心証をどれだけ損ねようが、協力する義理はない

 そもそも証拠保全の執行に強制力はなく、裁判官立ち合いの元、原告側弁護士の求めに応じ、被告側が求められた証拠を提示する――あくまでそういう“紳士的”な執行作業なのである。紳士的な取り決めにとどまるとはいえ、裁判所が必要と認めた証拠を、裁判官立ち合いのもとで吟味するということの意味は大きい。

 証拠保全の執行は、係争中の裁判について判断する裁判官が担う。つまり訴訟の全関係者が一堂に会するようなもので、その場での落ち度は裁判官の心証に直結し、先々の判決に影響を与えかねない。普通はそう考える。

エクシア側は裁判官に一切対応しなかった

 しかし、訴訟に自信があったり、初めから裁判の結果など思案の外だとしたらどうか。裁判官の心証をどれだけ損ねようが、証拠保全などに協力する義理はない……そういう考えが浮かんでもおかしくはない。東京地裁の担当者を迎えてもなお、異様な“対応”を続けているエクシアという会社は、自信があるのか、はたまたハナから訴訟を投げているのか。