作りこんだコント大好き!
―― ご家族とはテレビをよく一緒に観ていたというお話でしたけど、それでも「これは観ちゃダメ」みたいな制限はなかったですか。
吉岡 テレビの制限……なんかあったかなぁ……。あぁ、『ロンドンハーツ』は観させてくれなかったですね、あんまり。観てると「ダメ、観ちゃ!」って(笑)。
―― どんなところがダメだったんですか?
吉岡 ドッキリ企画かなんかだと思いますけど、観ながら「好きな人にこんな裏切られたら最悪」とか呟いてたら、お母さんに「そんなことないからね」「大丈夫、愛は信じてればちゃんとあるから」って、説得された記憶がありますね(笑)。あと、バラエティ番組で言うと、ちょっと世代違うんですけど、私、『ごっつええ感じ』の大ファンで。『ごっつ』はビデオで借りてきてめっちゃ観てますね。やっぱり関西出身なんでお笑いが好きなんです。『吉本新喜劇』は毎週観てたし。あと私の世代だと『爆笑レッドカーペット』とか、『エンタの神様』とか。『エンタ』で、ドランクドラゴンさんやアンジャッシュさん、しずるさんを好きになりましたね。
―― じゃあ、結構作りこんだコントの方が好き?
吉岡 作りこんだコント大好き! 『ごっつ』に、私がすごく好きな「浸水家族」っていうネタがあって。YOUさんが浜田(雅功)さんを連れて、結婚を申し込むというコントなんですけど、お父さんが松本(人志)さんで、お母さんが今田(耕司)さん。あと犬が1匹いる。バッて玄関の扉を開けるとガーッて水が流れてくるっていう(笑)。それで浜田さんがウッてなってなるんですけど、YOUさんは普通に洪水の中をパーッと歩いていって、「ただいまー」みたいな。
―― あはは。
吉岡 「そうめん食べるー?」とかいって、そうめん台をガーッと作って、パーッと下りてくると、そうめんがバーンってビチャビチャの床に落ちて。それをカーッと手で洗って、「はーい」って(笑)。そういうコントを当時つくっていたのが三木聡監督。去年、映画(『音量を上げろタコ!』)でご一緒した時に沢山お話する機会があって、その頃のことを色々お伺いしたんですよ。
―― へえ!
吉岡 やっぱり当時はコント番組1つとっても、予算がたっぷりあって、豪快なセットの中、自由な演出をさせてもらって、ほんとにいい時代だったと。だからあんな面白い名作がいっぱい生み出されていたんだなって思いました。
学生時代の落語の縁が、やがて鶴瓶さんに
―― 笑いですと、落語もお好きなんですよね?
吉岡 はい。落語は、寄席に母とおばあちゃんとよく一緒に行ってました。
―― どなたが好きだったんですか?
吉岡 私はずっと桂春蝶(しゅんちょう)さんが好きです。あと、桂ざこばさんのお弟子さんのひろばさん。
―― どういうところに惹かれたんですか?
吉岡 ひろばさんは、酔っ払いのネタがすごく上手なんです。声がしゃがれてて、ちょっとやんちゃな落語というか、お行儀良くない感じの落語がすごく素敵です。春蝶さんは私が学生の頃に通っていた嵐山のアルバイト先の近くで、よく高座に立たれていたんです。それで、よく聴きに行っていたんですけど、あの頃はとにかくなんでもいいから勉強したいって思ってて、それで春蝶さんに「落語を教えて欲しいです!」ってお願いしたこともあるんです。
―― へぇー、そうなんですか!
吉岡 「まぁ弟子ってわけにはいかへんけど、お稽古はつけれるから」みたいな感じで、1、2回稽古をつけていただいたことがあります。その直後に映画のオーディションに受かって、仕事も増えていったので、高座に立つような機会はありませんでしたけど、もしかしたらそっちの世界に行ってたかもしれないです。
―― けっこう、本気だったんですね。
吉岡 そうですよ!
―― 高座ではないですが、鶴瓶さんとはアドリブ即興劇を展開する『スジナシ』で、ついに共演をされていましたね。
吉岡 私が落語を教えて欲しいですと直談判した話が、春蝶さんから鶴瓶師匠に伝わったらしいんです。それがきっかけでゲストに呼んでくださったんです。昔の縁がこういう風に今に繋がってるんだなぁって感動しちゃいました。
#2 吉岡里帆が語る「グラビアのお仕事のこと」http://bunshun.jp/articles/-/5835
#3 吉岡里帆インタビュー「私が志村けんさんからもらった言葉」http://bunshun.jp/articles/-/5836
写真=佐藤亘/文藝春秋
よしおか・りほ/1993年、京都府生まれ。NHK連続テレビ小説『あさが来た』でヒロインの娘の親友「のぶちゃん」役で話題になる。他のドラマ出演作に『ゆとりですがなにか』『カルテット』など。ドラマ初主演となる『きみが心に棲みついた』が1月16日TBS系でスタート。