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 さて、一方で驚いた記事もある。

『欧州 観戦ボイコット拡大』(11月22日)

 ドイツ戦前日の読売新聞である。カタール大会を巡っては、移民労働者の過酷な労働環境、女性や性的少数者への差別問題、ワールドカップ招致を巡る買収疑惑などが指摘されている。記事中でドイツの首都ベルリンのバー店主は「カタール大会は放映しない」と決め、「社会問題に目をつぶってサッカーを楽しむのは間違いだ」「商業主義が先行するW杯に声を上げる意義はある」と述べている。有力誌シュピーゲルの世論調査では、7割が代表の試合を「見ない」と答えたという。

ワールドカップで浮き彫りになった「温度差」

 次のニュースをご覧になった方も多いだろう。

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『W杯ドイツ代表、写真撮影で口ふさぐポーズ 虹色腕章禁止に抗議』(11月23日AFP=時事)

 ドイツ代表の選手が日本との試合前の写真撮影で口をふさぐポーズをし、国際サッカー連盟(FIFA)が虹色のキャプテンマークの使用を禁止したことに対して抗議した。

《この腕章は、W杯開催国のカタールが同性愛を違法としていることへの抗議とみられていた。》

 ドイツサッカー連盟は選手が抗議した直後、ツイッターに「人権は譲れない」と投稿し、「腕章の禁止は発言する権利を禁じているようなものだ」と主張。これが口をふさぐポーズの意味だった。

森保一監督 ©JMPA

 一方で日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「今サッカー以外のことでいろいろ話題にすることは好ましくない」と発言(NHKニュース11月22日)。

 この違い、温度差をどう考えればよいのだろう。サッカーだけを見ているべき? この点を考える記事も読みたかったが、ドイツ戦勝利に沸く日本の新聞(11月24日)はあまり報じていなかった。