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Catch the Cajun Seafoodにて。アメリカのDIYショップで購入したアイテムでペーパータオルを固定。

飲食業における、ファッション主体の会社の強みとは?

 オリジナル店舗ということもあり、基本となるメニュー構成やソースの味などは徹底的にこだわり、開発に数ヶ月を費やした。そして、紙製テーブルクロスのデザインや店の内装など、すべてを自分たちでつくり込んでいった。ファッションが主体の会社だけに、時代の空気やトレンドを盛り込んだオシャレな雰囲気づくりはお手のもの。ロフトをイメージしたインテリアの中に、ヴィンテージのイスとテーブルを置き、各テーブルにはロール状のペーパータオルを常備。それを固定しているのは専用の器具ではなく、アメリカのDIYショップで売られていたカジュアルな万力だ。ジンやモヒートを大人数で注文すると、ピッチャーの代わりに透明のおしゃれなドリンクサーバーに入って出てくる。ファッションに強い会社ならではの感覚で、文字のフォントひとつにまでこだわったお店を実現した。

「社内に飲食店専門のクリエイティブチームを抱えているし、僕も長年ファッション中心で仕事をしてきたので、オリジナルの店舗はどこも自然と洋服屋っぽいデザインになりますね。このあたりが飲食専門の会社とは絶対的に異なる部分なのかもしれません」

仕事でのやりがいにつながる、正解の探し方とは? 

「これまでいろいろなことをやってきて思うのは、海外の人気店を日本にもってくる場合、どうしても本国の経営陣の正解を探すことが仕事になってしまいます。それもビジネスとしてはもちろんありですが、やっぱりコンセプトや名前、内装、メニューなど店のすべてを自分たちでつくるほうがやっていて楽しいですよね。スタッフたちと、もっとこうしようぜ、ああしようぜって言い合いながら。店への愛情もより強くなりますし、売上が前日より1000円でも高ければ“やった~!”って気持ちになります。つまり自分たちで正解を見つけるほうがおもしろい。だから、これからはベイクルーズのオリジナル飲食ブランドをもっとたくさんつくっていけたらいいですね」

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「これからはオリジナル店舗にもっと力を入れていきたい」

飲食店事業で、店をヒットさせるよりも重要なこととは?

 最後に野田さんに飲食店事業における成功の秘訣を聞いてみた。

「唯一言えるのは、変え続けることがすごく重要だってこと。人気の店もそのままではいずれ飽きられてしまいます。だからうまくいっている時ほど、もっとよくするにはどうしたらいいのかをつねに考える必要があるんです。これで大丈夫だと安住した瞬間に終わりますね。いつも会長には“365日360°気を抜くな”と言われてますから」

 ベイクルーズでは今後、別々だったファッションの店舗と飲食店の会員システムを統合し、双方でメンバーズカードが使えるようにするという。実現すれば、洋服を買って貯まったポイントを飲食店で使えるようになったり(もちろん逆も)、2017年12月現在でおよそ180万人もいる会員の動向を把握して、新たな戦略を練ることもできる。ビジネスの可能性がグンと広がっていくだろう。また、同社では家具やインテリア、フィットネスも扱っているため、将来的にそれらがどんなシナジー効果を生み出し、どんな新しい世界が出現するのか? ベイクルーズの挑戦はこれからも続いていく。