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ひときわ目を引く印象的な廃墟が……
青島の大半は樹木に覆われた小高い丘になっており、人の住む区画は東南部の僅かな平地に限られている。港の周囲約200mに広がる居住区には、現役で島民が住む家屋がある一方、大半は無人化して久しい廃墟であり、中には外壁に植物を纏っていたり、相当に崩壊が進んだ建物も散見される。
そして、海沿いの居住区から少し奥まったところ、観光客も滅多に来ないであろう小高い丘の斜面に、ひときわ目を引く印象的な廃墟があった。かつて島の小中学校だった「長浜町立長浜小学校青島分校」と「長浜町立青島中学校」の校舎である。
斜面の下側に建っているのは小学校校舎で、こちらは最近まで公民館や宿泊施設として使われていたらしく、古くはあるものの荒廃は少ない。一方で、斜面の上側に位置する中学校校舎は、外壁は全体が蔦に覆われ、入口と思しき箇所も分厚い藪に封印されている。内部への侵入はおろか、接近すら困難である。このような物件こそ、ドローンが威力を発揮する被写体だ。
ドローンを操り、小中学校の校舎をカメラで捉える。
南向きに建てられた中学校校舎の1階部分は、ほぼ完全に生い茂る草木に沈み、植物の侵食は屋根の上にまで及んでいる。
半面、破れた窓から観察できる教室の内部は、窓ガラスや内壁の一部こそ剥落しているものの、外観の荒れ方と比較すれば、いくらか綺麗に保たれている。その理由は、離島にあること、そして侵入が困難であることから、人為的な破壊を受けていないためであろう。
いったい、これらの校舎にはどんな歴史が秘められているのか。
両校の沿革は、明治期に遡る。