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 別の近隣住民女性はこう証言する。

「お母さん(由美子さん)は仕事をしてなかったんじゃないの? いつも家の中にいるみたいで、外で姿を見たことがありませんでした。週に1度ほど男性が出入りしていたようですが、結婚はせずシングルマザーだったようです」

 きょうだいは、この市営住宅で生まれ育ったようだ。

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穂坂家のきょうだいが育った市営住宅 Ⓒ文藝春秋

「家のことは長男も含めた5人のきょうだいに任せきりで、長女の沙喜が仕切っていました。小学生だった子供たちがごみ袋を抱えてごみ捨て場に運んでいたのを覚えています。袋が重いと引きずってしまって、階段や廊下に生ごみを撒き散らかしたこともあった。さすがに迷惑だからと近所からクレームが入ったけど、その時に謝りに出て来たのも子供たちでした」(同前)

“騒音トラブル”の元凶として肩身の狭い思いを…

 “ネグレクト”気味の母親のもとで、きょうだいは肩身の狭い思いをしていた。かつて同じ市営住宅に住んでいた男性はその姿を覚えていた。

「5人はいつも揃って登下校してましたね。門限に遅れて親に怒られるのが怖いのか、帰りが他の子供に比べてえらく早かった。市営住宅の前で鬼ごっこやかくれんぼをして遊んでいる時は子供らしい笑顔を見せていましたが、自分の家が“騒音トラブル”で迷惑をかけているのは自覚していたようで、沙喜はご近所さんが通りかかると子供ながら気まずそうにしていました」

母親を監禁し、修くんを亡くした長女の沙喜容疑者(FNNプライムオンラインより)

 自分の家族が近所に迷惑をかけている――子供にとってはつらい環境だった。

「きょうだいが他の友達と遊んでいるのを見たことがないんだよね。5人ともちょっと変わってたといえば変わってたかもしれない。特に次男の大地は暴力的なところがあって、人を殴ってもなんとも思わないようなタイプだった。しかし、あれだけ毎日怒鳴り声が響くような家庭だもん。性格がゆがむのもしかたない。可哀相ですよ」

何度も家出をはかったが…

 母親か、はたまた出入りする男のものか、毎夜浴びせ続けられる怒号から、子供たちは逃げ出そうとしたこともあった。

「長男と次男の大地が家出をはかり、家から3kmほど離れた場所で夜11時頃保護されたことがありました。一番上の男の子が可哀相だったのはよく覚えています。真冬の夜、市営住宅の階段に半袖半ズボン姿で座って凍えていたことは1度や2度じゃありません」(市営住宅に住んでいた別の女性)