X氏を直撃すると…
金融機関との契約違反になりかねない行為をオープンハウスの営業マンが指示していたことについて、ファイナンシャルプランナーの関根克直氏は問題点をこう指摘する。
「住宅ローンの申し込みをする際、“これは借主自身が住む物件で、賃貸に出すのはだめですよ”といったことは必ず契約書に書かれています。転勤などの例外はありますが、本来、物件を賃貸に出すには金利の高い投資用ローンで購入しなければなりません。もし借主がこの契約に違反してしまった場合、一般的には銀行から住宅ローンの一括完済を求められます。多額のローンを返済することができず、自己破産に至るケースもある。今回、オープンハウスの営業マンは借主のリスクを理解したうえで住宅ローンの不正利用を指示している。これほどの大企業が、現場レベルで悪質な営業をかけていることは大きな問題といえます」
X氏を直撃した。
――住宅ローンで購入した家を賃貸に出し、別の物件を購入するよう顧客に提案したか。
「私自身はやったことはないです。うちの社内の『この人に物件売っていいよ』のアレが通らないですよ」
――Xさん自身が住宅ローンで購入した物件を賃貸に出していた?
「1年だけ住んで、結婚して奥さんが絶対車欲しくて、この(物件の)サイズじゃ満足いかないということで。なので、銀行さんにちゃんと話をして、売却するまでの期間だけを認めてもらっていたので。隠してやろうっていうつもりでやっていたわけではないので」
――不正行為になる可能性があるが。
「まあ、そう……だから、そこのところでいうと、確かに心は痛いですけど……(笑)。本当に大丈夫なの?って言われたら多分ダメだとは思うんですけど」
改めてオープンハウスグループに事実確認を求める質問状を送ると、こう回答した。
「個別の取引内容については回答致しかねます。ご質問いただいた内容については事実確認を行った上で適切に対処致します」
住宅ローンの不正利用を巡っては、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」で2019年から問題が発覚。低金利で融資する条件が「借り手が居住する」などとなっているにもかかわらず、無断で賃貸に出したりするケースが相次ぎ、これまでに住宅金融支援機構と会計検査院の調査で200件超が不正認定されている。オープンハウス側がどのような対応を取るのかが注目される。
現在配信中の「週刊文春 電子版」では、Aさんの事例に加え、オープンハウスの営業マンに「住宅ローン不正利用」を指示された結果、深刻なトラブルに巻き込まれてしまったBさんの告発を証拠音声と共に掲載中だ。また、専門家が指摘する問題点と悪質性、営業マンと記者との一問一答についても合わせて報じている。
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