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医療の現場では「誰でも顔認証」という事態が…「暗証番号なし」マイナ保険証の“危うさ”とは

荻原博子の「マイナ保険証の罠」#1

2023/07/28

source : 文春新書

genre : ライフ, 社会

note

 この病院では以前、患者の顔をカードリーダーが読み取れず、大騒ぎになったことがありました。そのメンテナンス時に、業者が顔認証の精度を下げた疑惑が浮上しています。

顔認証の精度をゆるゆるに?

 折しも、河野太郎デジタル大臣が「顔認証の安全性」を盛んにアピールしていた時期で、ここでもしトラブルを起こしたら、富士通ジャパンのように名指しで非難されるかもしれないという恐れがあり、顔認証の精度を「ゆるゆる」にしてしまった可能性があります。

 つまり、河野大臣が「顔認証」の安全性を強調すればするほど、業者はトラブルが起きることを恐れて、認証の精度を下げていくという逆のことが現場では起きているということです

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 結果、「顔認証されない」というトラブルは減っていますが、いっぽうで、老若男女、誰の顔でも「顔認証されてしまう」という、とんでもないことが、医療の現場では起きています。

 もし、カードをカードリーダーにかざし、「暗証番号」も必要なく「顔認証」もゆるゆるだったら、どんなことが起きるのでしょうか。

 マイナ保険証は窓口での手続きが顔認証付きカードリーダーで自動化されているため、なりすましやカードの悪用が容易になるかもしれません。

 そうなると怖いことに、カードを持つ本人の医療情報に他人の医療情報が混入されることになります。