「下道への迂回」はかえって遅くなる?
もちろん、渋滞予測をもとにピーク時間帯を避けたとしても、お盆期間中の高速道路が混雑していることに変わりはない。とくに事故や故障車などが原因で、想定外の足止めをくらってしまった場合には、「下道への迂回」という選択肢が頭に浮かぶことだろう。
しかし、これはあまりオススメできない対処法である。というのも、高速道路で長い渋滞に巻き込まれたとしても、車が進むペースは「混雑していない一般道」と同程度かそれ以上であるケースが多いからだ。
一例として、8月11日に東北道下りの矢板北PA付近で予想されている最大45kmの渋滞を見てみたい。この区間の通過には1時間50分かかる見通しであるから、この間の平均車速は時速約24.5kmである。これを一般道の基準で見てみると、昼間の混雑していない時間帯に市街地の国道を走るペース(全国平均:時速22.7km)を上回っていることがわかる。
その他、東名道下りの秦野中井IC付近や関越道上下線の高坂SA付近、中央道下りの相模湖IC付近など、名だたる渋滞スポットの予測を見ても、概ね時速20km以上のペースを維持できるものが多く、普段の一般道を走るのと遜色ないペースは期待できるわけである。
加えて、下道に降りた場合の混雑や、知らないルートで迷うリスクなどを考えると、高速に乗ったまま渋滞を抜けてしまうのが安全策だといえる。
それでも下道に降りる場合には、「早く着く」ことを目的とするのではなく、「どこかに立ち寄れる」という心の余裕や、景色の変化を楽しみたいところだ。
抜け道を使う場合は事前に「下調べ」を
もちろん高速道路上の渋滞であっても、著しく車速が低下するケースはある。例としては中央道上りの小仏トンネル付近や、名神高速下りの旧山科BS付近、上りの大津IC付近などがあり、ピーク時で時速12km~15kmになる。これは東京23区の商業地域を混雑時に走行するペース(時速13.8km)に近い。
さらに、東京湾アクアラインにおけるピーク時間帯の平均車速は時速7.1kmであり、こうなると「車がほとんど動かない」という感覚になってくる。このように、ペースが極端に落ちる区間を通ることが事前にわかっている場合には、あらかじめ抜け道として使えるルートや立ち寄れるスポットを調べておき、迂回ルートをプランの一部にしてしまうのもよいだろう。
万が一、事故や故障車による渋滞に巻き込まれ、その場で迂回路を探す場合は、なるべくドライバーに負担をかけないよう、同乗者がルートを調べるか、交通状況の反映が早いスマートフォンのナビアプリに案内を一任してしまうのが望ましい。
疲労困憊で苛立ちながら状況を判断するよりは、すべて機械に任せてしまったほうが間違いは少ないだろう。長時間同じ姿勢で運転していると、自身の疲労の度合いや精神状態が把握しにくくなるので、自分の判断能力を過信しないことが大切だ。