経済力も、家事・育児協力も、容姿も…
近年は、女性における「正規」割合自体も増えています。適齢期(25~34歳)女性の非正規割合は、ピーク時(’07年)には4割強にのぼりましたが、近年は3割強と減少傾向で、正規比率の増加が顕著です。(総務省「労働力調査(詳細統計)」ほか)。
それなのに、いまも女性の8割近くは「年収400万円以上」を結婚相手の最低条件だとするなど、91.6%(*1)が男性に「経済力」を求めます。そのうえ同じ調査では、96.5%が「家事・育児の能力や姿勢(家事・育児協力)」を男性に望み、さらに(恋愛時ほどではないにせよ)81.3%の女性が、「容姿(見た目力)」まで求めるようになりました。
*1 「重視する+考慮する」の合計。「第16回出生動向基本調査」より
まるで、結婚相手に「3高(高学歴、高収入、高身長)」を求めていた、能天気な私たちバブル女性の青春時代(’80年代後半~’90年代前半)に逆戻りしたかのようです。いえそれどころか、新たに家事・育児力を求める分、男性への要求をさらに強めたとも言えるでしょう。
「キャリア女性は結婚しづらい」は風説
女性の社会進出が進んだ’90年代後半~’10年ぐらいまで、「高年収の女性は、男性が敬遠するので結婚しづらい」といった噂も囁かれていました。
ですが、アナリストでリクルートワークス研究所研究員の坂本貴志氏によれば、「キャリア女性、すなわち年収が高い女性が結婚できないというのは、少なくとも現代においては風説に過ぎない」とのこと(’18年 同「リクルートワークス研究所サイト―少子化はキャリア女性のせい?」5月23日掲載)。
たとえば、女性で年収500万円以上の層は、圧倒的に「未婚」に多いのですが、おそらくその最大の理由は「高年収女性が結婚できない」からではなく、「結婚(出産)した女性が、少なからず(非正規に雇用転換するなどして)年収500万円未満の働き方を選択するからではないか」と想像できます(’22年 内閣府「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」)。
女性も「高収入プレミアム」傾向
また、リクルートワークス研究所が、未婚男女の年齢・年収別に「向こう1年間で結婚に至る確率」を計算した数値も、先の“風説”を否定します。年収が上がるにつれて結婚確率も上がる「高収入プレミアム」は、男性ほどではないものの、女性においても明らかで、年収増につれて結婚確率もほぼ上昇するのです(図表2)。
おそらく背後には、キャリア女性ほど異性との出会いのチャンスが多い、あるいは男性側が結婚後のことも考えて「収入の高い女性」を進んで選んでいる可能性もあるでしょう。先の「第16回出生動向基本調査」を見ても、男性が結婚相手に「経済力」を求める割合は年々増加しており、’21年時点で約5割(48.2%)にものぼっているのですから。また、先の民間(リンクバル)の調査を見ても、結婚相手の女性に「年収300万円以上」を求める男性が、既に5割以上もいるのです。