ジェンダーフリーと性的役割のジレンマ
23年、拙著『恋愛結婚の終焉』(光文社新書)でZ世代(弊社定義で、現19~28歳)にインタビューした際に、当時との違いとして、以下2点を痛感しました。
(1)社会が「ジェンダーフリー」に近づいた
(2)動画やAIの浸透など、超情報化社会に拍車がかかった
(1)については、教育の影響が大きいと考えます。
SDGs関連教育が小中学校の「新学習指導要領」に取り入れられたのは、20年度以降でしたが、その6~7年前から、既に教育現場では「男女混合出席簿」の導入、すなわち「男子が前、女子が後ろ」と性別で順番を決めるのはやめよう、などの動きが広がっていました。
こうした状況下で育ったZ世代ですが、こと恋愛となれば、「男たるもの」「女らしく」といった昭和的な性概念を求められ続けています。ゆえに、彼らの多くは、ジェンダーフリーの概念と、「男女不平等恋愛」のジレンマに悩んでいるようなのです。
インタビュー調査でも、「セフレがいる」と答える若者の多くは、次のような声をあげます。
「普段は男女平等とか言うクセに、付き合った途端『女らしさ』を求められるのがイヤで仕方がない」
「デートとなると、いまだに『男がリードして当然』みたいな風潮が、イミフ(意味不明)」
だからこそ、一部の男女は「恋人ではない異性と、もっと自由にセックスしたい」「女性も積極的にリードして、性行為をスポーツのように楽しみたい」などと考え、セフレとの関係を楽しむのでしょう。
一方、(2)の超情報化社会の進行は、「セックス=面倒」だと感じさせる要因にもなっているようです。
とくにZ世代は、「動画ネイティブ」とも言われる世代です。スマホとWi-Fi環境さえあれば、いつでもどこでも、コンビニ感覚で、アダルトコンテンツを覗き見られる。それが性的欲求を増幅させる可能性もありますが、逆に嫌悪感や「面倒くさい」と感じさせるケースもあるでしょう。