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「顔に特徴がないから幽霊か病人の役しかできない」

 2011年、10歳のときに「東宝シンデレラオーディション」でニュージェネレーション賞を受賞。17歳で「キミスイ」こと映画『君の膵臓をたべたい』(17年)に主演するなど、これまで順調にキャリアを積み重ねてきたかのように見える浜辺だが、実際は苦闘の連続だった。

映画「君の膵臓をたべたい」PRイベントにて。浜辺美波(左)と北村匠海

 浜辺は、かつてインタビューなどで自分について問われたとき、繰り返し語っていたことが二つある。一つは「顔に特徴がない」、もう一つは「すごく不器用」だ。

 顔に特徴がないことは俳優にとって、けっして長所ではない。顔が覚えにくいからだ。浜辺はキャリアの序盤で、マネージャーから「私の顔は特徴がないから幽霊か病人の役しかできない」と告げられている(MAG2NEWS 2019年11月29日)。

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 実際、彼女の10代の頃の代表作だったドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(15年)は幽霊の役、「キミスイ」は病人の役だ。続けて出演した映画『亜人』(17年)も病弱で療養中の主人公の妹役だった。

 ビジュアルの薄さがコンプレックスだった浜辺だが、客観的に自分を捉え直して強みに変えている。顔に特徴がなければ、メイクと髪型でどんな役柄にでもなれるからだ。

©文藝春秋

 それを活かしたのが、ギャンブル狂の美少女を演じたドラマ『賭ケグルイ』(18年)だ。コミックが原作でアニメ化もされた本作の主人公は、黒髪が印象的な蛇喰夢子。普段は淑やかだが、高額の勝負になると「賭け狂いましょう!」と興奮して叫ぶ。庵野秀明監督は『賭ケグルイ』を観て、『シン・仮面ライダー』のキャスティングに確証を持ったという。

劣等感まみれだった10代の頃

 浜辺は自分のことを「不器用」だとも言う。セリフは書いて覚え、役柄や設定を徹底的に体に染み込ませてから撮影に臨む。高校卒業後、キャンパスライフに憧れはあったものの、大学に進学しないで仕事一本に絞ったのも不器用さの表れかもしれない。

 自分が不器用だということは、「東宝シンデレラオーディション」の頃から痛感していた。「特技を披露してください」と言われても、特技がなかったので何もしなかったのは有名なエピソード。