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ゼロからの信用の築き方

――児島さんは、どのようにしてゼロから信用を築いていったのでしょう?

児島 先輩の主催者さんにノウハウを教えていただく中で、「出演する芸人さんにも事務所さんにもメリットがないと貸してくれないよ」と言われてハッとしました。

©文藝春秋

 私たちが勝手に「場数が必要ですよね」とか、「お客さんの前で笑わせるのって楽しいですよね」とアピールしても、押し売りにしかならない。こっちは良かれと思ってやっているけど、相手にもメリットがないと動かない。そして、いい意味で下手に出ることも信用を築いていく上では重要なことだと学びました。

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 たとえば、出演予定だった芸人さんが急遽出られなくなったとしても、「先にオファーしていたんだから」と文句を言うのではなく、「であれば、他に出演できそうな芸人さんがいらっしゃったらお願いできますか」とお伺いを立てたり。上からものを伝えると、「あそこは面倒臭い」と思われて損をするだけなんですよね。

――たしかに、キャリアを形成していく上で、その姿勢ってとても大切ですね。

児島 当時、キレ芸でブレイクしていたカンニングさんを呼ぶことはできないかと思って、先輩主催者さん経由で、所属事務所のサンミュージックさんのマネージャーさんにFAXを送ったことがありました。すると、「今、一番人気のあるカンニングを出すことはできないけど、その代わりに2~3年目だけど三拍子というコンビがいる。彼らだったらいいですよ」と言ってくださったんですね。

 三拍子さんはほどなくして『笑いの金メダル』に出るくらい人気に火が付くんですけど、マネージャーさんがおすすめしてくれる若手って売れ線だったり期待をかけられていたりする子なんです。自分が期待していた通りにならなかったからといって不貞腐れたりするのはもったいない。

 ただ、やっぱり運というか出会いも大切だなと思っていて、K-PRO主催の3回目のライブに、元フォークダンスDE成子坂の村田渚さんが出てくれたんですね。

村田渚さんの「教え」とは

「西新宿ナルゲキ」の客席 ©文藝春秋

――まだ3回目にもかかわらず、そんなビッグネームが!?

児島 渚さんにオファーしたもののマネージャーさんからは断られてしまって。そりゃそうだよなって思っていたら、渚さん本人がたまたま依頼書のFAXを見たらしく、「出たい」と言ってくださって。私たちからしたらあこがれの芸人さんですから、本当にうれしかった。

 渚さんとの出会いは、K-PROのターニングポイントなんですよね。ライブに出ていると売れてないというイメージがあるから、マネージャーは断ってしまうなどなど、実績の浅い私たちにいろいろなことを教えてくれました。

 過去の出演者の欄に「村田渚」と書くこともOKしてくださったので、「あの村田渚も出たライブ」ではないですが、それ以降、他事務所との出演交渉もしやすくなりました。