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頼むから“普通”のコミュニケーションを取らせて欲しい

 このように、フラットに仕事相手として付き合いたいだけなのに、そこになぜか恋愛やワンチャンの空気が入り込んでくることは想像するだに面倒だと思います。また、食事の誘いを断ったことで発注を打ち切られたとしたら、それは完全なるセクハラ案件です(冒頭に挙げた「男性上司からの恋愛アプローチを避けたら仕事で冷遇された」も同様ですね)。

 断ったら仕事で冷遇されるといった話はこの会社員女性に限らず、さまざまなところで耳にします。実際に桃山商事でも、恋愛相談だと思って聞いていたら仕事相手からのセクハラだったというケースが何度もありました。相談者本人ですらこれを「恋愛のいざこざ」と捉えてしまい、権力や立場が絡んだセクハラ案件であると認識していない場合も多々ありました。

 セクハラはセクハラとして別途考える必要がありますが、「何かと恋愛的な文脈で受け取る男たち」に困る女性たちの声を総合すると、ひとつの共通点が浮かび上がってきます。それは「頼むから普通にコミュニケーションを取らせてくれよ……」という思いです。

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仕事の中で起きたことを恋愛的に受け取るのは「ルール違反」

 ここで言う“普通”とは、「関係性の枠組みやアジェンダ(議題)からはみ出ない」という意味です。職場の人間やクライアント、あるいは発注先の人などは、大前提として「仕事」という枠組みの中で発生している人間関係ですよね。その中で尊敬の念や相手を好ましく思う気持ちが生じたとしても、それはあくまで「仕事仲間として」のものだし、一緒に食事をすることがあったとしても、基本的には「仕事の話をするため」に会うわけです。

 私も過去に何度も勘違いをした経験があるため、仕事相手に褒められたらうれしくなる気持ちは死ぬほどわかるし、距離が縮まったことで「これって脈ありでは!?」とドキドキしてしまうのも痛いほどわかります。しかし、仕事という枠組みの中で起きたことを恋愛的な文脈で受け取ってしまうのは、言わば「ルール違反」に当たるはずです。「仕事の話」というアジェンダをはみ出せば、相手が「そういう話をしに来たのではない」と感じるのはごく自然なことです。それなのに、なぜか誤解をされた側が「うかつだった」と反省したり、「君にも隙があった」なんて言われてしまったりすることがあるとしたら、とても理不尽なことのように思えてきませんか?