質の良い睡眠の取り方が科学的に分かってきたので、もうすぐ50歳になる私のケースでいえば、6時間半で十分。対して、幼児は9~10時間、20代だと7時間、40代は6時間半という具合に変わります。高齢になると5時間半ほどです。規則正しい生活をしていれば、人間はだいたいそれくらいで起きるようにできているんです。
8時間寝れないがために、「睡眠が足りていない。睡眠障害なんじゃないか」と悩んでクリニックに行かれる方もいらっしゃいますが、睡眠時間はあくまでも目安です。8時間寝なければいけないということはないんですね。
――では、睡眠の質を上げるためには何が必要なのでしょうか?
福田 寝ているときは寝ているだけですから、何もできません。睡眠の質を上げるには、起きてから寝るまでに何をするかです。起きている間は、寝るための準備期間だととらえてください。そのために、まず理解してほしいことが、交感神経と副交感神経の仕組みです。
交感神経が働くと緊張や興奮を伴うアクティブモードになり、副交感神経が働くと心拍数が下がりリラックスモードになります。疲労の原因は、交感神経と副交感神経からなる自律神経にありますから、リラックスモードである副交感神経を優位にすることを考えながら、睡眠時間を確保しなければいけません。
人間の体は、朝起きてから日中は交感神経が優位になり、夕方からは副交感神経が優位に働くようにできています。ところが、携帯電話や人工照明といった技術的な進化、そして仕事のストレスなどの影響によって、現代人は副交感神経にスイッチしづらい環境の中で暮らしています。また、体の構造として男性であれば30歳くらいから、女性であれば40歳くらいからスイッチしにくくなるということもあります。
部屋の照度を落とす
――ということは、寝るときは意図的に副交感神経が働きやすくなるような状況や環境を作らないといけないと?