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 正解はどちらでもない。地球温暖化の気温上昇傾向が続いているのだから、数年後にまたエルニーニョ現象のような自然の変動の上振れが起きたときには、2023年を上回る高温が生じることは明らかだ。

 つまり、2023年の高温はまだ「序の口」であり、地球温暖化が止まらない限り、今後も記録的な高温は更新され続けるのである。将来、2023年は「まだあの頃はあの程度の暑さですんでいた」と振り返られることになるだろう。

写真はイメージ ©iStock.com

高温だけではない影響

 高温は人間の健康や社会活動、生態系に多大な悪影響を与えるが、地球温暖化の及ぼす影響は当然、高温だけではない。

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 気温が上がれば大気中の水蒸気が増えるため、大雨が降りやすくなり、台風も強く発達しやすくなる。土壌からの蒸発が増えるために乾燥地域では干ばつが起きやすくなる。高温と乾燥により、森林火災が燃え広がりやすく、消えにくくなる。いずれも近年頻繁に国内外で経験されている傾向だ。

 また、陸上の氷の減少と海水の熱膨張により海面が上昇する。既に世界平均の海面水位は1900年水準と比較して20cm程度上昇している。温暖化がさらに進むと、南極氷床の不安定化が起きて海面上昇が加速するなど、後戻りできない臨界点「ティッピング・ポイント」を超えてしまうおそれがある。

 しかも、原因となる温室効果ガスをほとんど排出していない発展途上国の人々などがこれらの影響で深刻な被害を受けるという、理不尽な構造がある。

 このような影響が年々深刻化する中で生き抜くための対応は、気候変動への「適応策」とよばれる。

 具体的には、風水害などへの防災・減災の取り組みや熱中症対策の強化を、行政、コミュニティー、個人の各レベルで行っていく必要があるだろう。