「私の息子たちへの愛は無限」は言い切れる?
BossB おそらく、今の物理学の常識とは全く違う新しい視点で、宇宙と現実の世界を見ることが必要ではないかと思います。哲学的な視点も必要かもしれない。今までにない方向から見ないと、突破口がない気がします。
アインシュタインは「重力は〈時空の歪み〉である」と言って、ニュートン以来の常識を変えてしまった。けれど、彼はより正確で詳細な観測結果から重力の本質を発見したのではなく、「重力場と加速をしている状態は等価である」という概念をつくりだし、そこから発見が始まっています。同じように、まず「意識」を総括した概念が、先に出てくるんじゃないかな。
──意識は今の世界ではまだ、説明できない。では「私の息子たちへの愛は無限」とも書いていますが、これは言い切れる?
BossB 言い切れます。それは、宇宙には意味や意志、目的はないからです。
──この世に起こる物理的な現象も、生命の存在も、実は意味はない……?
BossB はい。実は、私が天文物理学を専攻した理由は、「宇宙を知れば、人間の生きる意味や存在の謎がわかるかも」と思ったからなんです。
物理学の発展によって、宇宙や量子の世界、生命についてもだいぶ説明できるようになったと思います。しかし、宇宙や現実を知れば知るほど、その動きや存在にも、まったく意味は見当たらないんですよ。
となると、そこに意味や価値を与えるのは誰か。それは意識があり、意味や価値を求める人間。つまり、自分自身です。
だから、私が「息子たちへの愛」に「無限の価値」を与えれば、私にとっては「息子たちへの愛は無限」になりうるのではないでしょうか? 私はそう考えます。
──なるほど。
BossB あと、私に愛情が芽生えたきっかけは、私の選択ではなく、もしかすると私のDNAに「遺伝子を継ぐ者を守れ」と刻まれているせい……のような気がします。人間が何十万年と生命を繋ぐ中で、子どもに愛を与えたほうが、親の遺伝子が存続する確率が高かった、という遺伝生物学の論理です。
──人間という動物はそう設計されたというか。
BossB はい。ただ、それはあくまできっかけのみ。私は、愛は努力して築くものだと思っています。「運命的に赤い糸で結ばれている」とか「血のつながりがあれば無条件に愛せる」というのは、違うと思う。実の子を虐待する人も、いっぱいいるじゃないですか。
だから大事なのは、子どもを産んだあと、「愛する」「愛さない」を選ぶのは自分の選択だということです。私は息子たちを「愛する」ほうを選んだし、その思いを日々育てていくことで、愛はもっともっと、無限に、膨らんでいくと思いますよ。これが私の考える愛、です。