65歳以上の高齢者は、バブルの恩恵を受けてきた世代だ。若い頃は良い生活をしていたが、バブル崩壊後はリストラに遭うなどして生活苦に陥り、その一部が窃盗や無銭飲食などといった犯罪に走った。2006年は、そうした人たちの犯罪がピークに達した時期といえる。
受刑者は刑期を終えて社会復帰したところで、安定した職業に就けるわけではない。差別にさらされたり、親族や友人と疎遠になっていたりすることもある。そのため自暴自棄になって再び犯罪に手を染める。これを3回以上くり返すことを「累犯」と呼ぶが、現在増えているのは高齢者の累犯なのだ。
「うちの受刑者の9割が累犯です」
梶山氏は言う。
「現在、うちの受刑者の9割が累犯です。1人平均4.7回入所していて、一番多いのは19回になります。私は転勤を挟んで合計10年以上ここで勤務していますから、転勤前の十数年前から何度も出たり入ったりしている受刑者もたくさんいます」
刑期の平均が3年半なので、単純計算で累犯者1人あたり16年以上は刑務所で過ごしている計算になる。彼らの犯した罪を示しておこう。
覚醒剤 34.9%
窃盗 32%
詐欺 7%
交通法 4.1%
傷害 3.4%
強盗 2.8%
その他 15.8%
ここで言う詐欺とは、特殊詐欺や投資詐欺のような高度なスキルを必要とするものではなく、レストランや居酒屋などでの無銭飲食がほとんどだ。無銭飲食は、当初から料金を払う意思もなく、食事をだまし取ったということで詐欺罪が適用される。
高齢累犯者は、どんな人生を送り、何を思って受刑生活を送っているのか。実際に、受刑者に話を聞いてみることにした。