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誤解8 うつ病は「遺伝する病気」である 

 病気をつうじて知りあった私の友人には、家族をうつ病による自殺でなくした方がいます。退院後に通ったデイケアにも、「親族におなじ病気をわずらっている人が多い」とおっしゃっている方がいました。

 そういう事例を見聞きすると、すぐ「精神病は遺伝なんだ」ときめつける人がいます。私の親戚にも「うちの血筋に患者はいなかったのに、みんなの迷惑だと思わないのか」といい放った人物がいます。

 これらはすべて、道徳的に正しくないことはもとより、科学的にもまちがった認識です。

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 たとえばうつ病以上に「遺伝する病気」というイメージの強い、統合失調症をみてみましょう。遺伝子としては100%同一である一卵性双生児のうち、片方が統合失調症を発症したばあいに、もう片方も発症する割合は50%。一般には統合失調症をわずらう確率は1%なので、この数値だけだと遺伝の影響が大きそうにみえます。

 しかし逆にいうと、遺伝子が完全に同一でも発症率が100%にならないということは、ざっくりいって半分程度は遺伝ではなく、環境が作用していることを示しているのです。(22)