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ソフトウェア・エンジニアがAIに仕事を奪われることはない

 また、ソフトウェア・エンジニアリングの分野では、コードを書く作業中、ずっとインテリジェント・アシスタントが話しかけてくれます。それでも、ソフトウェア・エンジニアの需要は決して減りません。自明の理ではありますが、テクノロジー労働者はハイテク業界に集中しているわけではなく、あらゆる業界に広がっているからです。

 ニューヨーク・タイムズも、例外ではありません。わが社の組合員(上層部を除くすべての職員が組合に所属)の30%は、テクノロジー労働者です。20年前とは様変わりしています。また、研究開発部門だけ見ると、その比率はもっと高くなります。AIが研究者に取って代わることはできなくても、生産性や革新性の向上に寄与することはできます。

 マーケティングや営業部門でも同様です。この15年間、AIの利用は、ターゲット広告やおすすめ商品など、売り込みが成功する確率を上げることに焦点が置かれてきました。なので、生成AIがマーケティング分野でより大きな成果をあげているのは、当然のことです。その分野の効率化は収益に直結します。そうなった場合には、インセンティブも高まるのも当然です。

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 このように見ていけば、ソフトウェア・エンジニアにとって、AIは有能なアシスタントにはなっても、仕事自体を奪われることはないでしょう。

マッキンゼーによるレポート(『人類の終着点――戦争、AI、ヒューマニティの未来』より)

生成AIで開発にかかる時間を大幅に短縮

 研究開発の分野では、弁護士と同じで、膨大な法律文献や科学文献を読み込んで検索することを自動化できます。また見落としも防げます。そこでのAIとは、いわば顕微鏡のようなものです。顕微鏡によって、これまで見えなかったものが突如はっきり見えるようになり、生物の仕組みの解明の手掛かりが与えられた。今まで、私たちがAIに求めていたのはそういう機能でした。

 2022年11月(ChatGPTが公開された月)以前には、ディープラーニング(深層学習)に焦点が当てられ、画像認識や単語認識、パターン識別によって、どこを見ればいいのかというところまで予測できるようになりました。

 そこに登場したのが、生成AIです。たとえば分子設計や製薬において、試験管やペトリ皿で行われていた実験がコンピュータ・シミュレーションとしてできるようになりました。これにより、数千のリストから数個の標的薬物を絞り込み、本当に良いものを作れるようになります。そして、開発にかかる時間も大幅に短縮されました。こういったワクワクすることがもたらされたのも、生成AIのおかげでした。