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 誤解から生まれる弊害をなくすためには「ドーパミン制御障害」などと病名を変えるのもひとつの方法ではないかと、私は思っています。

 実際のところ、ドーパミンの過活動が大きな原因のひとつになっています。そのように本人の意志だけではなんともできない病気だという認識を持つことが大切です。

 最近はギャンブルを行なっている際に脳内ではどのような変化が起きているかに関して、脳画像研究なども進められています。脳のメカニズムから解明していく必要がある病気だとわかってきたからです。

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 北里大学医学部の精神科には「ギャンブル障害専門外来」が設置されています。

 そのホームページでも、ギャンブル障害(ギャンブル依存症)は「嗜癖障害のひとつ」と説明されています。嗜癖(アディクション)とは、やめようと思いながらもやめられない、なんらかの習慣への耽溺状況を意味します。

 薬物依存、アルコール依存、摂食障害、買物依存、セックス依存などもそうです。

 北里大学のホームページでは次のように解説されています。

《依存症に陥っている人には、自分が依存症である事を認める事ができず、問題を過小評価する事がしばしばあります。ギャンブル障害などの嗜癖障害についても同様です。ギャンブル障害の症状を知っても「自分は違う」、「自分は最後には勝つから大丈夫」、「自分はあの人に比べたらましだから大丈夫」などと感じる傾向があり、このように感じてしまうことが、やめられない原因になる事もあります》

《ギャンブル障害では、ギャンブルへの強い欲求が生まれます。この強い欲求を「渇望」と呼びます。そして、次第にギャンブルに賭ける金額と費やす時間が増えていきます。これを「耐性」と呼びます。また、一度、ギャンブルをやめても、何かのきっかけで、またのめり込んでしまいます。これを「感作」と呼びます。「渇望」「耐性」「感作」は依存症や嗜癖障害に認められる脳の機能的な変化によるものと言われています。これが、ギャンブルをやめ続ける事を難しくしています》

 ギャンブル障害が深刻化すれば、家庭内不和や離婚、DVやネグレクト、失職や借金、刑事問題(横領、詐欺、窃盗、殺人など)、希死念慮に発展することがあるとも書かれています。希死念慮とは、死にたいと願うことで、自殺願望とは少しニュアンスが違うものです。うつ病の症状のひとつとして挙げられることも多い用語です。

意志や根性ではどうにもならない

 北里大学のギャンブル障害専門外来で実際に治療に当たっている蒲生裕司先生は、この本のために次のようにも教えてくれました。